第15話 オートチャージ

「ふ~う、子供たちが無事で良かった。バタッ。」

 サイキック・エナジーを使い切った姉の真理亜は、その場でフラフラと倒れ込んでしまった。

「お姉ちゃん!?」

 陰から見守っていた妹の楓が倒れた姉に駆け寄る。

「か、楓?」

「お姉ちゃん!? 大丈夫!? サイキック初心者マークなんだから無理しないでよ!?」

「タ・・・・・・タイキック初心者マーク?」

「サイキックよ!? お姉ちゃん!? こんな時も少しズレてるよ!?」

 起承転結の起のお約束の流れである。

「お姉ちゃん!? エネルギーを使い切ってフラフラじゃない。どうしてこんな無理をしたのよ?」

 ブレーキの利かない姉を心配する妹。

「た・・・・・・助けたかったから。」

「え?」

「子供たちを助けたかったから。」

 疲れ切った姉は必死に素直な心の言葉を伝える。

「お姉ちゃん、カッコ良すぎだよ。うるうる。」

 思いもしない姉の言葉に感動して涙を流す妹。

「助かって良かったね。子供たち。」

「わ・・・・・・私、子供たちを助けることが出来たのね。良かった。バタッ。」

 子供たちの無事を確認した姉は力尽きて瞳を閉じた。

「え? お姉ちゃん!? お姉ちゃんー!? 嫌だよ? 死んだら嫌だよ? お姉ちゃん? ・・・・・・イヤー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 動かない姉を見て失意の妹は絶叫する。

「勝手に殺すな。エイッ。」

 ゾンビの様に生き返った姉が妹の頭にチョップをかます。

「痛い!? お、お姉ちゃん!? 大丈夫なの!?」

 生き返った姉に驚く妹。頭にチョップをくらって痛いと思う余裕がなかった。

「大丈夫よ。平気だわ。」

 自分の前身を何ともないと見て思う姉。

「たぶん私は超能力に目覚めるのが遅かったから、16年分のサイキック・エナジーが体に蓄積されていて無尽蔵に生き返るオートチャージ・スキルがあるんだわ。」

 都合の良い解釈をする姉。

「良かった! お姉ちゃんが無事で! アハッ!」

「ごめんね。心配をかけて。アハッ!」

 姉と妹は仲良し姉妹であった。

 つづく。

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