第13話 危機感知

「ずっと家にいると体が鈍るのよね。散歩でもしてこよう。アハッ!」

 姉の真理亜は学校をズル休みして、サイキックの修行をしている。気分転換に家の外で出て体を動かそうと玄関で靴を履いていた。

「あら? 真理亜。どこかにお出かけするの?」

 そこに母のひばりが現れた。

「ちょっと散歩してくるわ。」

「いい、真理亜。あなたが超能力者であることは誰にも知られてはいけない。」

 娘を心配する母は提言する。

「どうして?」

 姉は母の言葉の意味が分からないし、知らなかった。

「直ぐに分かるわ。あなたは自分で体験した方が物分かりが早そうね。気をつけて行ってくるのよ。」

「は~い! 行ってきます!」

 心配する母の気持ちも知らずに姉は家の外に出ていった。

「本当に大丈夫かしら? あの子。」

 やっぱり母は不安だった。

「私がこっそり後をつけるよ。」

「楓、よろしくね。」

 不安なので妹が姉の後をつけることにした。


「いや~! みんなが勉強している時間に外を歩けるなんて、とても優雅な気持ちだわ。アハッ!」

 学校で勉強しなければいけない時間に自由に過ごすという背徳を楽しみながら歩く姉。

「ピシーン!? これはサイキック・インスピレーション!?」

 姉は何かを感じ取ったようだ。

「上か!?」

 上に振り向くとカラスが糞を姉を目掛けて降らせてくる。

「当たりはせんよー!」

 ピョンと後ろにバックステップでカラスの糞攻撃を回避する姉。

「ピーン!? 今度はなんだ!? うわあ!?」

 また何かを感じ取った姉。

「ピッピー!」

 姉の横を猛スピードの車が走り去った。

「危ない!? もし私が超能力に目覚めていなければ、今のであの世行だった。ふう~。」

 危機を感知して生死の危機を乗り切った姉。

「キラ~ン! あれは!?」

 次々と発生する姉の感知能力。毎日の人間の生活には感知しなければいけない出来事がたくさんある。

「50円玉だ! 何が何でも取らなければ! よいしょ! よいしょ!」

 自動販売機の下に腕をつっこみ50円玉を取り出そうとする健気な姉。

「どうして!? そこでサイコキネシスを使わないの!? お姉ちゃん!?」

 やはり妹は姉は感覚が少しズレていると思うのだった。 

 つづく。

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