第12話 インスピレーション

「これは!? サイキック・インスピレーション!? この感覚は!? なんだ!? 何かがある!?」

 何かを感じ取る姉の真理亜。

「今日の・・・・・・おやつはチョコレートだ! わ~い!」

 おやつのあるリビングに笑顔で駆けていく姉。

「美味しい! チョコレート! 最高! アハッ!」

 超能力のある生活を送り始めた姉であった。

「なにかサイキックの使い方を間違えているような?」

 疑問を感じる妹の楓。

「間違ってないわよ。タイキックの使い方。」

 タイキッカーのポーズをしてアピールする姉。

「サイキック! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!?」

 この流れはお約束。

「いいんだ。伏線とか入れた真面目なストーリーより、ネット小説を読んでいる人は、ご都合主義で面白ければ何でもいいんだもん。いじけてやる! うるうる。」

「お姉ちゃん、泣かないで。もう女子高生なんだから。」

 いじける姉を励ます小学生の妹。

「それにしても、お姉ちゃんが、こんなに早く超能力者生活に馴染むとは思わなかったわ。」

「私だって、やる時はやるのよ! エッヘン!」

 なぜか得意げに胸を張る姉。

「ねえねえ、私って高校生よね?」

「そうだよ。」

「私、高校に通わなくていいのかな?」

 超能力の修行中の姉は学校を仮病で休んでいた。

「ななななな!? ダメー! お姉ちゃんは変なことは考えなくていいのよ!」

 まさかの勉強が嫌いな姉の質問に慌てふためき否定する妹。

(言えない!? まだ友達も学校の名前も決まっていないから、学校なんかに通わすことが出来ないなんて、絶対に言えない! 慎重にストーリーを進めないと頓挫しちゃう!?)

 これも働き方改革の一環である。

「そんなことより、お姉ちゃんは、どんなサイキッカーになりたいの?」

 違う話を振って話を変える妹。

「そうね。やっぱり宇宙一のタイキッカーかな?」

 単純な姉は素直に妹の質問に答える。 

「サイキック! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!?」

 困った時のお約束の展開。

「やっぱり困っている人を助ける優しい超能力者になりたいな。」

 ぽそりと呟いた姉。

「おおー!? 奇跡だわ!? おバカなお姉ちゃんとは思えない優等生な発言!?」

 予期せぬ姉の発言に驚きを隠せない妹。

「そう? 私は普通に話しているだけだけど。」

「私はてっきり、超能力を使って世界征服だとか、銀行強盗するとか、破壊神的なことを言うと想像していたわ。」

 優秀な妹はおバカな姉のことを見下していた。

「あの・・・・・・楓ちゃん。姉である私のことを普段からどう思っているのかな?」

 天真爛漫な姉も純粋な疑いの目で妹を見つめる。

「優しくてカワイイ真理亜お姉ちゃん! アハッ!」

 笑って誤魔化す妹であった。

 つづく。

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