第10話 PSI修行、サイコキネシス

「こらー! 真理亜! 家を壊すな!」

「ごめんなさい。」

 父に怒られる自宅破壊者の姉は低姿勢で謝り続ける。

(無意識のうちに、サイキック・エネルギーを溜めて放出するなんて、なんてサイキック・センスがある子なのかしら!?)

 母は姉の超能力者としての高い可能性を感じた。

「フッフッフ、次は私の番よ。」

「お母さんもごめんなさい。お家を壊してしまって。」

「真理亜、あなたなら家が壊れたらどうする?」

「公園のドラム缶で生活する。」

 どこでも生きていけそうなゴキブリのような姉の発想的生命力。

「ズコー!?」

 家族は姉の奇想天外な発想についていけないのでズッコケる。

「あれ? 私、何か変なことを言ったかしら?」

 姉は自分の発言に罪はないと?マークで首を傾げる。

「あなたね!? 超能力が使えるんだから普通に考えないで。」

「あ、そっか。アハッ!」

 笑って誤魔化す姉。

「家よ! 元に戻りなさい!」

 母が念力で粉々に砕け散った家を何事もなかったように元通りに戻していく。

「うわあ!? すごい!」

 復元されていく自宅を見て驚く姉。

「どう? これがサイコキネシスよ。」

 勝ち誇った自信満々の表情を見せる母。

「お母さん! カッコイイ!」

 自分が破壊した自宅が直り姉は母のサイコキネシスを見て感動する。

「真理亜、あなたもサイコキネシスで何かを動かしてみなさい。」

「タイキックで何かを動かす!?」

「サイキックだよ! お姉ちゃん! 少しズレてるよ!?」

 この流れはお約束。

「でも、また失敗したらどうしよう?」

「大丈夫よ。失敗したらサイコキネシスで元に戻せばいいのよ。」

「よ~し! やってやる! 一丁やってやろうじゃない!」

 超能力の上手な母に促されて、姉はサイコキネシスに挑戦する。

「潰れろ! 隣の家!」

 姉のサイキックの使用の選択は、お隣さんのお家だった。

「ええー!?」

 家族の目が驚きで飛び出そうだった。

「ドカーン!」

 初めて意識的にサイコキネシスを使った姉は見事に破壊した。隣の家は全壊した。

「こらー! 真理亜! あなた! 何をやっているの!?」

 お隣さんに迷惑が掛かり激怒する母。

「ええー!? だって、お母さん! 失敗しても元に戻せばいいって、言ったじゃない!?」

 今回は姉の言う通り。

「それと、お隣さんのお家を破壊することとは別問題ですー!!!!!!!!!」

 母は怒っているので、娘の言い分は却下される。

「そんな~!? あんまりだ~!? 私は悪くないもん!」

 世の中の不条理を訴える姉であった。

 つづく。

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