第8話 透視
「バリアを張らなければいけません。」
母のひばりが姉の真理亜に超能力の指導をしている。
「バリア?」
超能力とバリア。何のつながりがあるのか分からない。
「超能力には透視という、物が透けて見えるサイキック・スキルがある。」
「タイキック・スキル!?」
「サイキック・スキルよ!」
この流れはお約束。
「透視?」
おバカな姉には難しい言葉の意味は分からない。
「分かりやすくいうと、透視して宝箱の中にモンスターがいたら宝箱を開けなくていいでしょう。」
母は分かりやすく例え話をする。
「う~ん? 難しい?」
それでも理解できない姉。
「ああ~、真理亜に分かってもらうのって大変だわ~。」
我が娘ながら不憫に思う。
「ごめんなさい。デッキの悪いお母さんの娘で。」
タダでは負けない娘。
「仕方がありません。もう一歩進んだ例え話をしましょう。」
覚悟を決めた母親。
「朝、ベッドで目が覚めて、食卓を透視する。朝食が大好物のエビフライだった場合、ベッドから飛び起きると思わない?」
「エビフライ! 起きる! 起きます! 起きます!」
食べ物に釣られる娘。
「釣れた。さすが我が娘だわ。アハッ!」
食べ物に弱い娘のことを、よく理解している母であった。
「ここからが本題よ!」
「長!? 前振り長!?」
いよいよ母は物事の核心に迫る。
「もし街を歩いていて、自分以外の超能力者がいたとします。」
「同業者!」
「その超能力者が、あなたの着ている服を透視します。どうなりますか?」
「下着が見えます!」
「いえ、裸が見られてしまいます。」
「キャアー! 変態!」
おバカな娘に分かりやすく透視の危険を説明する。どうやら娘にも理解できたようだ。
「もし街を歩いていて鼻血を出して倒れている人間がいるとします。その人間は超能力者です。」
「そんな奴いないでしょう・・・・・・いた!? それも結構多いかも!?」
街の様子を思い出した娘はは鼻血を出して倒れている多くの男女のことを思い出す。
「間違いありません。超能力者です。」
「そうだったのか!? 明日からブラとパンツ10枚履きます!」
枚数を増やすのが娘の対透視用の対策だった。
「大丈夫ですよ。あなたの透視バリアは、サイキック上位者の私が張っていますから、あなたの裸もステータスも透視されて見られたことは一度もありませんから。」
超能力者の母は超能力はレベルが高く、サイキック・高スキルの透視バリアを張れる。
「お母さん! ありがとう! お母さん! 大好き!」
「アハッ!」
抱き着いてくる娘を可愛く思う母であった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。