勇者の旅立ち:宇波 ミユキ うなみ みゆき
女性
33歳
アナウンサー
適応力:91
女神からの声が頭に響く――
「ふたりの兵士から声が挙がって、王様は内心狼狽しているわ。
あなたも加勢してあげて。
もう内容は何でもいいから、『そうだそうだ』的なやつで大丈夫。
……うん、きっと大丈夫よ」
憑依先:兵士
■■■テンセイ■GO■!■■■■■
「貴様らふたり、示し合わせてわたしをコケにするというのか!?」
王が玉座から立ち上がらんばかりに激怒している。
もうすこしで「死刑!」とでも言い出しそうな剣幕だ。
(なんかおじさんが怒り狂ってる~。へんな夢~)
ミユキは普段から、自分の夢を楽しむ性格だった。
「そうだコケにしてるぞ~。あっはは」
「!?」
広間に緊張が走る。
兵士からの思わぬ加勢を得たと油断していた勇者も、
「お、おい……」
さすがに事態の悪化を察して止めようとする。
(夢ならむちゃくちゃにしたほうが楽しい)
ミユキは気にせず続ける。
「こんな豪華なところに住んで、人の気持ちを考えたことがあるのか~。鬼~。悪魔~。コスプレおっさん~」
「きッ貴様ァ~!」
王は腰の宝剣を抜き、立ち上がった。
と、そのとき――
「う……」
持病の高血圧がたたって、王は意識が遠のいた。
■■■オツカレ■サマ■デシタ■■■
――憑依者が元の世界へと戻り、そして神界。
「ええ? ここ大チャンスじゃない?」
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