さよなら。
そろそろ成人式だ。松本さんは来るのかな。もしも出会えたら、高校では違う所へ進学したから5年ぶりぐらいか。会えたら、伝えてみようかな。「実は中1の頃好きだったんだよね。」って。
.....やめておこう、そんなことできるんならあの時に言っている。
あ、まずい!バイトに間に合わなくなる!早く行かないと!
はじめて部活に行きたくないと思ってる。
練習着に着替えてはため息。
シューズケースにバスケットシューズを入れてまたため息。
「行ってきます。」
誰にも聞こえないくらいの声しか出なかった。
昨日の元気はどこへやら、ヨッシーは道中一言も話さない。ガチガチに緊張してる。心臓の音がこっちに聞こえできそうだ。
ヨッシーの作戦はすごくシンプルだ。午前中はバスケ部が体育館を使う、午後からはバレー部。この入れ替わる時に、呼び出して告白するらしい。
部活中、俺達二人だけ気が気でなかった。いつもと変わらない練習をしているのに、時間が経つのがすごくはやく感じる。
シューティングを終えて、十時。
ハンドリングを終えて、十一時。
紅白戦を終えて.....全てのメニューが終わり。
ガラガラと、扉をスライドしてバレー部が入ってきた。松本さんもいる。目が合った。
手を振ってくれた。飛び上がって、喜びたかったけど、目を逸らしてら手を振られたことに気づかない振りをした。
「「気をつけ、礼!ありがとうございました」」
練習が終わった。ヨッシーがバレー部の方へ歩いていく。松本さんと2人で、体育館の外へ出ていった。.....苦しいなぁ。
駐輪場でヨッシーを待っている。もうかれこれ15分ぐらいになる。告白ってそんなに長引くっけ。あぁそうか、きっと付き合うことになって、色々話してるんだ。
「ごめん、待たせた。」
.....なんで目が腫れてんだよ。真っ赤になってんじゃん。そんな辛そうに笑うなよ。
「振られたよ。」
「.....そっか。」
二人で自転車を漕ぎ出した。
一言も話さなかった。
家に着いて、自分の部屋で今日の事を思い出してた。不思議と俺振られた気になった。
あいつで無理なら、俺でも無理なんだろうな、そう思うと少しだけ気が楽になる。
ピロンッ
松本さんからだった。急いで、パスワードを解除して、内容を見ると、
【いきなりごめん!!クラスの
グループから追加したんだ!!
ちょっと相談したいことがあ
るんだけど、いいかな?】
あぁきっと今日のことだ。だけど、一応分からないふりをしないと、
【大丈夫だよ、なんの相談?】
【今日吉岡くんに告白されたの】
知ってるよ。
【え!?そうなんだ!それでど
うしたの?OKした?】
【ううん、振ったよ】
それも知ってる。
【あーそうなんだ。
なんで振ったの??】
【他に好きな人がいるんだよね
それで振ったの】
それは、知らなかった。
【そうなんだ...他に好きな人が
いるなら、仕方ないよ
無理して付き合っても、良
くないだろうし】
【そうだよね!私もそう思った
から振ったんだよね、
ありがと!スッキリした!!】
【そう?スッキリしたなら良か
った!!
好きな人と上手くいくといい
ね!!頑張って!!】
スタンプを送信して、トークを終えた。
無性に寂しくなった。
涙が溢れて、零れて、止まらなかった。
松本さん、好きです。
付き合ってください。
送信できない言葉が、浮かんでは消えていった。
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