第20話
「おはよう、金沢くん」
朝から爽やかだな、と朝陽ごしに芽内を見る。
「おはよう、芽内。というか、俺に正体バレた後も一緒に登下校するっていう茶番やるのか?」
「やるよー。昨日お願いされた事によって、もしかしたら金沢くんに危害が及ぶかもしれないからね」
「…用心棒ってわけか」
「うーん。それだけじゃないんだけど」
と珍しく居心地の悪そうな返事をする。
「それ以外にどんな理由があるんだ?」と聞くと、またいつもの正体不明の笑顔を浮かべて
「この件が全部終わったら、教えてあげる」
「あ、そう」
半分、諦めモードだ。芽内に関しては、わからないことが多すぎる存在だし、所属している委員会の性質から言って素直に本当の事を言うわけにもいかないだろう。
「それより、俺がお願いした件、大丈夫なのか?」
「問題ないよ。滞りなく進むと思うから、見てて」
そう自信満々に言ってから、また魅惑的な笑みで金沢を見つめる。
「私、委員会に所属して長い方なんだけど、こんなお願い初めて」
「そんなに変わったお願いか?」
と金沢が訝しげに言うと
「うん、金沢くん変わってる。…虐めの首謀者、羽黒くんを処罰せず、クラスの雰囲気を戻してくれ、なんて」
そう面白そうに言う。
横目で見ると、芽内は軽い調子で言っていたが、目を見ると目まぐるしく何かを考えているようだった。
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