第11話魔王と勇者

魔王のミキィと再会してから数日後、魔王の椅子を改造して二人用のベンチシートにするとそこにミキィとリオンが仲良く座っている。


若干リオンの方に余白があるが…


「リオン、ちょっと近いよ…」


ミキィが恥ずかしそうにしながらも、嫌がってはいない様子…


「駄目…?」


リオンが寂しそうに聞くと


「べ、別に駄目では無いけど…」


慌てて否定すると


「ならよかった…」


リオンは更にミキィに近づき腰に手を回す。


「うおっほん!」


リュウさんがまたかと咳払いすると


「報告してもよろしいですか?」


ミキィとリオンを見る。


「ご、ごめん!いいよ」


ミキィが姿勢を正すと、リオンがクスッと笑ってそっと手を離した。


少し寂しさを感じながらリュウの報告を聞く


「それでは、リオン様がいた人間の国ですが…あの後王女が乱心された用で…次々に城の者を殺して行き…最後は自分の腹を裂き子宮を取り出して自害したそうです」


リュウが顔を上げると、リオンがミキィの耳を抑えていた…


「な、何?乱心の後から聞こえなかったよ?」


ミキィがリオンの手を退けてもう一度とリュウを見ると


「ミキィはここまででいいよ、ねぇリュウさん?」


リオンがリュウを見ると


「そうですね…」


呆れながらも頷くと


「そういう事で今人間達の国は内乱やらで外に構ってる暇はないようですね…これでここ数十年は静かになるんではないでしょうか?」


「本当に?なら…リオンを取り返しに…なんて心配はないんだね」


ミキィがホッとすると


「ミキィ…そんな心配を?」


リオンが嬉しそうにミキィを見ると…


「べ、別に凄い心配だった訳じゃないよ!リオンはそばにいてくれるって信じてるし…」


ミキィが恥ずかしそうに顔を逸らすと


「駄目…ちゃんと顔みて言って…」


リオンがミキィの顔をそっと触って自分の方に向けると…


「おっほん!」


本日何度目となる咳払いか…


「とりあえず、人間達の報告は以上ですが…これってリオン様が何かしましたよね?」


リュウがジロっとリオンを見ると


「別に…俺はただ人にした行いが全部自分に返ってくる魔法をかけただけだよ。アイツらがお互いを思いやり、尊重しあって助け合えればあんな事にはならなかったさ…全部、自業自得だよ」


ニコッと笑う。


「はぁ…ミキィ様より勇者のはずのリオン様の方がよっぽど魔王に向いてますね…」


「えー!そんな事ないよ!リオンは優しいもの…魔王は無理よ」


ミキィがまさかと笑うと…


「知らぬは本人だけか…リオン様が優しいのはミキィ様だけになんだがな…」


リュウがボソッと独り言を言うと


「何?リュウさん?」


リオンが笑う…


「いえ…なんでもありませんよ…後は…」


報告書を見ると…


「後は城で働く者達から苦情が何件か…ミキィ様とリオン様の行動に砂糖を吐く!ミキィ様とリオン様が廊下でイチャついていた!ミキィ様とリオン様が部屋に籠って数時間出てこない!など…もっと読みますか?」


リュウがミキィを見ると…


「もう…いい…」


顔を真っ赤に染めて手で覆い隠している。


一方リオンは…


「恥ずかしいなぁ、みんなに見られてたなんてねぇミキィ?」


嬉しそうにミキィを眺めている。


「絶対確信犯だな…」


リュウがため息を付くと


「お二人共場所をわきまえてイチャついて下さい!城の独り身のもの達の飲酒率が最近上がっておりますので!」


「すみません…」


「場所を考えればいいんだね?」


素直に謝るミキィに対して全然やめる気のないリオン…


「リオン!」


ミキィが怒ると…


「ごめん、ごめんちゃんと今度から見てない所でする様にするよ」


「そういう事じゃない!」


ミキィが顔を赤くすると


「えっ…じゃあ…あえてみんなの前で堂々としてみる?ミキィは僕の物だよって分からせるためにも…」


リオンの真剣な顔にミキィの脳がショートする…


「ありゃ?からかい過ぎたかな?」


ミキィがぐったりするのを優しく抱きとめると…


「リオン様…程々にしてあげて下さいよ」


リュウが困った様に言うと


「うーん…ミキィの事は程々になんて出来ないかな…常に真剣だし全力で向き合うつもりだから」


リオンがよいしょっとミキィを抱き上げ立ち上がると…


「じゃ…とりあえず部屋の奥の奥に行くよ…そこならミキィの声を誰にも聞かせずに済むしね…」


リオンは嬉しそうに部屋へと戻って行った…


「ミキィ様…ご武運を…」


リュウは未だ気を失っているミキィにエールを送った…。



[完]

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勇者と魔王 ナナシ @nawananasi

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