第7話リオンとミキィ

「りお?なんでその名前を…」


ミキィが驚きリオンを見ると…


「俺だよ…みき…三木 薫」


リオンがミキィの手を取るとにっこりと笑った。


「みき?あの…みきなの?」


うん…とリオンが頷く。


「あんな別れ方で…本当に悲しかったぞ…お前次はあっちで会おうなんて…あっちって何処だよ…」


リオンがその時の事を思い出し苦しそうに顔を歪める…


「みき…ごめん…あの時は朦朧としてて…私…あの少し前にここに転生するって決まってたの…その時に女神様がみきも必ずここに転生させてくれるって言ってて…だから私直ぐに見つけて貰えるようにわざとミキィって名前にしてもらったの…」


ミキィがリオンを見つめる…


「うん…魔王の似顔絵を見て直ぐにわかったよ…それまではこんな世界クソ喰らえって思って生きてたけどね…」


「どういう事?」


「俺もあの後直ぐに交通事故で死んでさ…やっぱり転生させるってあの女に言われたんだ…」


「あの女って…女神様ね…」


ミキィが笑う…


「俺…てっきりあっちって天国とかだと思ってて…だから転生なんてごめんだって駄々こねてたんだよ…」


「もう…みきったら…」


「そしたら無理やり落とされた…その時に条件でりおの名前を入れて欲しいって頼んだんだ…」


「だから…リオン?」


分かりずらいよ!ミキィが口の端を上げて笑う。


「その笑い方…変わんねぇな…」


リオンがミキィの頬に手を添えて慈しむように撫でる…


「あの時言えなかった言葉を言わせてくれよ…」


リオンがミキィを見つめると…


「うん…ずっと…会いに来てくれるの待ってたよ…」


ミキィが頷きリオンを見つめ返す。


「りお…、ずっと…好きだった…」


リオンは嬉しそうに涙を流すミキィにそっと触れるだけの優しいキスをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る