第6話再会

「とうとう…辿り着いてしまった様ですね…」


リュウさんがミキィに声をかける。


「ミキィ様…今からでも遅くありません…逃げて頂けませんか?」


ミキィは首を振ると…


「駄目だよ…みんなを置いて行けない、それにパパ達に任せれた仕事を放棄できないよ」


「部下達が前魔王様を見つけだし、きっと駆けつけて下さいます…」


「パパ達を捕まえるのは至難の業だよ…いいんだ、何かあった時はよろしく言っといてね」


「ミキィ様…我らは何処までもお供しますから…」


先程から響く破壊音がどんどんと近づいて来る…


人間達を止めに向かった魔族達からはバケモンが一人居た…と報告を受けていた。


その後も何度も魔族を送るが皆が一様に返り討ちにあっていた…その時に必ず伝言を残していた。


会いたい…


待っていろ…


もう逃がさない…


ミキィはとうとう追い詰められた。


ミキィがいる部屋の扉が開くと…人間達がなだれ込んで来た。


一番前にいるのが例のバケモノだろうか…じっとミキィを見つめている。


「おい…あれが魔王なのか?」


人間の男達がザワつく…


そこにはどう見ても可愛い女の子が座っていた…。


「なんだあれ?人にしか見えないぞ…」


「しかも…結構可愛いぞ…」


男達が唾を飲む…


「人間共…何をしに来た!」


ミキィが精一杯凄んで叫ぶと…


「ぶっ…」


一番前の男が吹き出す…


ミキィはピクピクと口の端を持ち上げ引きつくと…


「ギャハハ!可愛いなぁ!君が魔王ちゃんかぁ~」


男達も一緒に笑い出す


「どうだい?投降して俺達に抱かれてみないか?」


「可愛がってやるぞ~」


「順番だ!順番決めようぜ!」


人間共がギラついた目でミキィを舐め回す。


ミキィがブルっとトリハダがたつと…腕を前で組んだ…


「貴様らぁ…」


リュウさん達魔族が憤怒すると…前に出た…


「リュウさん!」


リュウは一番前にいた男に剣を振り下ろすと…


「危な…」


リオンがサッと剣で受け止める。


「このクソ共がさっさと帰りやがれ!ミキィ様に触れて見ろ…体の一部分も残らず灰にしてくれる!」


「それは…困る」


リオンはリュウの腹を蹴り飛ばした。


「グッハッ!」


ドッガーン !!!


リュウさんが壁にめり込んだ…


「嘘…」


ミキィが唖然とすると…


「ヒャッハー!魔族も大したことないな!」


男達が後ろで歓喜していると…他の魔族もレオンに飛びかかって行った…が…皆返り討ちに合ってしまう。


「ミキィ…様…逃げて…」


魔族がミキィに手を伸ばす…


「みんな!」


ミキィが震えて椅子に縮こまっていると…男達が近づいて来た…


「ほら…おいで」


男達が興奮しながらミキィを掴もうとすると…


「触るな…」


リオンが声をかける…


「なんだよ…最後ぐらい俺達にも戦わせろよ」


「そうだ!これじゃあ俺たちが何もしてないと思われるからな」


「魔王ちゃんは俺達が責任もってヤルからお前は休んでろよ、興味無いんだろこういう事に…」


ニヤッと笑うと魔王の手を取りベロンと舐めた…。


「ひっ…」


ミキィがビクッと震えると…


ザンッ…


ボトッ…


「ぎゃぁぁー!俺の!俺の腕がァぁぁあア…!」


魔王ミキィの手を掴んでいた腕が切り落とされた…


「貴様!どういうつもりだ!」


男達がリオンに剣を向ける…


「俺は触るなって言ったよな?」


リオンがイラつきながら男達を睨む。


「ふん!やっぱりお前の考えはわからん…だがいい機会だ!コレで証拠は揃った!リオンは裏切った事で俺達に殺される。そして魔王討伐したのは俺達だ!コレで帰っても俺達は英雄だ!」


男達が叫ぶと一斉にリオンに向かって隠し持っていた弓を構えた。


「これには魔族も一発で倒れる毒が塗ってある!少しでも掠めれば痺れて動けまい!そしたらみんなでなぶり殺しだ!」


『おー!』


男達が勝利を確信して笑い出すと…一斉に弓矢を放った。


リオンが放たれた弓を弾いていく…しかしただの一矢がリオンの腕を掠めてしまった…


「あっ!」


思わずミキィが声を出すと…


「やった!当たったぞ!」


「みんないまだ!一斉にかかれ!」


男達がリオンに剣を突き刺そと突進すると…


「クズ共が…」


リオンは男達を一振で一掃した…。


ドンドンドンドンドン…ドンッ!!!


壁に順番にめり込んで行く男達…


「な、なんで…動ける…」


血を吐きながらリオンを見つめると…


「俺…毒が効かないんだよ…悪かったな」


「なっ…そんな奴…いるもんか…それこそ…勇者くらい…」


ハッ!としてリオンを見ると…


「そうだな…言ってないけど、俺勇者って肩書きらしい」


リオンの不敵な笑い顔が男達の最後になった…


「あ、あなた…一体…」


ミキィがリオンを見つめると…リオンは懐かしそうに目を細め魔王に微笑む


「やっと、やっと会えた…りお…」

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