第2話 その日の夜

 式はつつがなく終わった。

 ネーゼの妹であるララ・アルマ・バーンスタインとともに、3人での結婚式が終了したのである。

 となれば、当然披露宴だ。


 だが、前代未聞の事態が発生する。


 なんと、披露宴にシュランメルトとララがいないのだ。

 理由としては、「ララは早速、シュランメルトを独占したくなった」というものが挙げられる。

 しかもそれを、シュランメルトは堂々と発表しているのだ。なのに、ほとんど誰も動揺していなかったのである。


(根回しが早い……。とはいえ、不思議と納得出来ますわ。ララさんのあの様子といったら、すぐにでも初夜を済ませたかったのでしょう)


 ネーゼとは真逆の、即ち「自ら結婚を希望した」という事情が、ララにはある。


(そう言えば、だいぶ前……。「私を唯一負かせた男と結婚したい!」と、言ってましたわね。とはいえ、ララさんはララさん、私は私です)


 落ち込んだ気持ちを隠しつつ、ネーゼは無事に披露宴を乗り切った。


     *


 その夜。

 ネーゼはついに、シュランメルトに呼び出される。


(ああ、ついに初夜が……)


 だが、呼び出された先はシュランメルトの寝室ではない。

 巨大なリビングであった。


「よく来たな。座ってくれ」


 シュランメルトが、穏やかな声音でネーゼに呼びかける。


「はい……」


 ネーゼはおそるおそる、ソファに座った。

 それを見たシュランメルトが、単刀直入に切り出す。


「率直に聞こう。貴女には想い人がいる、そうだろう?」

「えっ!?」


 あまりの事に、ネーゼは驚愕した。

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