政略結婚から始まる喜劇～不条理は己（おれ）が打ち砕く～

有原ハリアー

（ああ……。ついに、この日が来たのですね……）

　アルマ帝国第一皇女、ネーゼ・アルマ・ウェーバーは、憂鬱な気分に満ち満ちていた。

（覚悟はしておりました。しかし、叶うならば……。せめてハーゲンと、かつての恋人と一目、お会いしたかった……）

　時は既に遅し。

　かつての恋人と再会する暇（いとま）すらも、彼女には無かったのである。

（いえ……もう、終わった話です。忘れねば）

　そう無理に言い聞かせ、ネーゼは隣に立つ男との挙式を行った。

　ベルグリーズ王国が守護神の御子（みこ）、シュランメルト・バッハシュタインと。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい