文月 - 弐 (2020)

(短歌)


つくりものみたいな青が広がって風吹く先のグランドは白


切れろって昔願ったミサンガがある日突然千切れたような


風の音 ざわざわ何かの笑う音 花の香りと見えないわたし


ブランドは詳しくないしおひさまの香りみたいなきみが好きです


忘却の宇宙で泳ぐきみ探すどこかで笑ってくれていますか


ブランコが代わりにないてくれるからボクらはあした元気になれる


アゲハ蝶見つけて嘆くきみがいて好きな季節はどうでもいいや


生きるって難しいのね煌々と世界をのぞく六畳間にて


彼方の参列できぬ一周忌 萬年筆を労つてゐる


あの頃の遠足前の高揚をかるがる越える翼があります


すきなもの最後に食べるひとだった わたしは最後になれなかったね


きみの字が好きです 声も好きなんです 紡ぐ言葉も好きです 好きです


鳥が鳴く青葉が茂るぼくの住むワンルームだけ酸素が薄い


ぼくだけが好きになれないのでしょうか ぼくだけが悪者なのでしょうか


どうしても僕らは許せないらしい僅か七日の自己顕示欲

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