水無月 - 壱 (2020)

(短歌)


‪昨日まで知らない世界を生きていた似たもの同士の出会いの証‬


‪冬の夜 星空見上げ呟くの 冷たい風ときみに会いたい‬


‪人知れず咲いて枯れゆく裏庭のただ一輪の百合になりたい‬


‪『Let it go.』を訳して頷くの しばらく私を放っておいて‬


‪しじみ汁作ってくれる人は居ぬ 見覚えのない部屋と飼い犬‬


‪闇落ちは愛の仕草ださくらばな リスカの紅に口付けをして‬


SEXのセの字も知りませんという顔してきみはシングルマザー


‪人形の夢と目覚めを弾いている横でおなかがすきましたと言う‬


‪方眼に先生あのねの書き出しはお願い聞いての古びた呪文‬


かみさまが考えた最強のわたしになりたいので今日はおやすみ


‪人知れず明日仕事を辞めるのでホールケーキを買ってきてみる‬


‪かみさまに愛されたくて泣いているあの子は何を見てるのでしょう‬

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