皐月 - 弐 (2020)

(短歌)


なんとなく座って後ろを振り返る 伸びゆくツメの分だけ過ぎた


‪ぼくのいう言葉をだれかわかってよ バベルの塔をつくったせいだ‬


「これは恋?」なんて常套句を吐いて今日も世界をピンクに染める


‪カフェ・オ・レが飲みたいのって歌ってる 洗濯終えたら散歩しようか‬


‪お風呂上がりのダッツを食べたら聞いたげる 例えばそれが神だとしても‬


‪低予算映画のようだハンディの手ブレで酔いそう あなたの機嫌‬


‪その昔みんなでとんだひな壇は確かにくじらぐもだったのに


‪鈍色の空を見上げた子どもらが溢る泉に大岩を置く‬


お世辞にも綺麗ではないきみの字の私の名前を刻みつけるの


ひとつずつ灯りを消して暗闇といとしいきみのぬくもりを聞く


‪きみの音 水に溶かしたオレンジの淡さが空を染めていく頃‬

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