師走 - 参 (2019)

(短歌)


被告人 私を絞首刑に処す 元気なときに組んだ予定が


ただよってただそれだけで かわいい と 認められてる君になりたい


‪冷たくて痛い師走のかぜのなか 君の名を呼ぶ ガラガラの声‬


‪てっぺんの苺が好きじゃないんだよ 愛しい君にあげる口実‬


‪「つれないね」つぶやく君の顔を見る それでも楽しそうなのはなぜ‬


‪君と手を繋ぎ一度は見てみたい ポインセチアに雪積もるとこ‬


‪いまいまし4号の円にらみつけ刺したフォークは冷い銀色‬


師が走るように過ぎてく今月にコケた先生思って微笑う


問一を何度も解いて力尽き 明日は後から解いてみようか


‪色眼鏡かけて世界を歩いたらどこかで水の音が聞こえた‬


冷蔵庫空っぽにした年末の端でからしが体育座り


‪かの昔生き返られたキリストのように私も生きられたらなぁ ‬


気がつけば駅伝選手が年下に次は力士かA代表か


実家にて炬燵で紅白見て過ごす二十四の冬 春はまだ来ぬ



(都々逸)


‪ささくれだった右の手を見た これをこころと言うらしい‬


‪冷えてしまったココアを啜る 洗うのはもう新年に‬



(俳句)


‪ゆく年が残す温度に微睡んで‬

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