師走 - 弐 (2019)
(短歌)
寒空に震えてメガネを曇らせる 性懲りも無くまだ生きている
つやつやのショートケーキのてっぺんの赤いその子になれたらいいな
夢という名のつくそれに札つけて金で買うのにまだ夢という
明け方の人身事故を引きずって 周回遅れで走る先頭
会いたいの一言言えず魘される ひとりは寒い まだ夜明け
恋してる あの日わかれた滝川の向こうの夢に恋をしている
身を守るはずの草木の棘たちが 暮れの優しい音を刺してる
いつになく君が大きく笑うから わからなくても隣にいたい
音にするただそれだけのことなのに踏み出せなくて夜が深けていく
飛び出したバナーを不意に目にとめた 見なきゃよかった 見ててよかった
不規則に揺れる風景 懐かしく 違う音階「次止まります」
27.5cmのハイヒール 他人がなんだ だからどうした
どうしても間違い見つけられなくて それでもおんなじ味だったんだ
多様性 個性を尊重しましょうね 規制のための大義名分
冷えきった掌握り前を見る 思い出全部 ポケットの中
(都々逸)
跡形もなく消え去っていく SF世界の夢を見る
なんでもできると信じてられる 無垢な大人でいたかった
なんでもできると信じてやまぬ あなたの隣が心地好い
なんでもできると信じて動く やってみなけりゃ できはせぬ
なんでもできると信じていても できる日は来ぬ 動かねば
なんでもできると信じていたい けれど横から槍が飛ぶ
なんでもできると信じてるから 明日の朝日も眩しいの
ブランド品で着飾ったとて 鬆のある牛蒡は美味くない
実のない話を聞き流すより 音のない時 過ごしたい
ロングタップで存在消した 四角い世界の方がいい
(川柳)
鈍色の一輪挿しがほこってる
コーヒーに入れた砂糖が溶けないね
空見上げ歌う分別奮闘記
「最高」の実は木の洞 鳥も来ぬ
ご褒美を買う金もなく運頼み
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