第11話 土の精霊王ベヒモス。
従者さんに尋ねると、ここから程近くの海上に無人島があり、そこならなにしても、安全だと言うことだ。
船で送ってもらう、上陸すると、本当に何もない島だ。言うならば、砂漠の島か?
さて準備しよう。四大精霊の元を用意しよう。しかし、まわり海だし、土はいっぱいある、風は吹いている。という訳で、乾燥した木片に火をつけて、火の精霊にも備える。
精霊界のゲートをイメージして、手のひらをつき出す。すると、先ほどと同じく大きなゲートが出来る。そして、ゲートに魔力を注ぎ込む。ゲートが、光出す。
周囲が微妙に揺れる。するとゲートから、少しずつ体が現れてくる。ん? なんだ?ガメラだっけ? 黒いゴツゴツとした大きな亀のような形の顔が出てくる。口からは下から上に牙が見える。ギョロとした、大きな目が見える。ゲートがさらに広がり、体が出てくる。背中には、亀の甲羅のようになっていて、さらにその甲羅は、岩のようにゴツゴツ盛り上がっている。足は、象のようだ。そして、全体的に大きい。20m位はあるだろうか。
「わしを呼び出したのは、お前か? しかし、久しぶりだ。現界に召喚されたのは。我が名は、土の精霊王ベヒモス」
えっ! いきなり、精霊王召喚しちゃった。確か、土の精霊がノーム。それらを統括する、上位の精霊が精霊王ベヒモスだ。
「えーと、ベヒモスさん、俺は召喚魔術師で名はガクって言います。よろしくお願いいたします」
「うむ、ガクとやら、わしと契約するか?
しかし、ガクお前の力は凄いな、力が溢れてくるぞ。これだけの力は、かつて精霊の導き手と呼ばれた男以来か? いや、それ以上だな」
精霊の導き手。後で本で調べてみよう、どんな人だろう。そして、契約ってどうすれば良いんだろ? 調べてくるの忘れた!
「是非、契約してください。力が溢れるって、召喚魔術師によって違うんですか? そして、契約ってどうすれば?」
「ああ、召喚魔術師の力量で、わしらが現界に及ぼせる力、そして存在できる時間が違うのだ。力量も、凄いが、相性も良いようだ。契約は、お主の魔法印をわしに刻めば良い」
そうなんだ。なるほど。で、魔法印って何?
「魔法印って何ですか?」
「それもわからず、呼び出したのか、まあ良い。魔法印とは、自分固有の魔法を使った印のことだ。指で書いてわしに押し当てれば良い」
なるほど、じゃGAKUと指で書いてそれを手のひらでベヒモスに押し当てる。
ベヒモスの体が一瞬光る。
「主よこれでわしを呼び出せば、いつでも現れ力を発揮できる。だが、素晴らしい力と対称的に、なんともお粗末な知識よ。うーん、そうだ、わしの分身を渡して置こう」
そう言うと、ベヒモスはなにやら魔法を唱える。すると、魔法陣の中から小さな生き物が飛びだして来て肩の上に乗る。ネズミ?
いや、ハムスターか? しかし、毛がモフモフして可愛い。
その生き物は、前足で鼻の辺りを擦るようなしぐさをしつつ、声を出した。キュイ。しかし、自分の頭には、ベヒモスの野太い声が響く。
「どうじゃ、可愛いだろ。適当に名前をつけてくれ」
名前? 何が良いだろ?
「ベヒオ?」
「なんだその名前は、可愛さの欠片もないではないか。そして、ベヒモスという名から離れろ、どうもじっても、可愛いくならんからな」
ベヒモスひねっても可愛くならない? ベム、ヒモ、モスラ、ベス。本当だ! じゃ、どうしよう。恐らくこれは土の精霊ノームの体を使って作ったものだろう。そうだ!
「のの、ノムラ、のの、ノブオ、のの」
「おお~良いではないか」
ん? ノムラ? ノブオ?
「ノノ。良い名だ。決定。ノノだ。わしの可愛らしい外見にぴったりだ。宜しく頼むぞ主殿」
と言うと、ベヒモスは帰っていった。
しかし、以外と疲れてないが、日が暮れてきた。続きは明日以降にしていこう。召喚魔術に関しては目処がたった。わからないことは、ベヒモスじゃなくて、ノノに聞いていこう。
「ガク先輩。何ですかそれ? 可愛い!」
宮殿に戻ると、ちょうど夕食の時間がせまり、直接食堂へ向かい、座ろうとするとフミカちゃんが、目ざとく、ノノを見つけて声をだす。
「ああ、今日召喚に成功した土の精霊ノームの分身体だ。名前は、ノノ」
精霊王ベヒモスのことはまだ黙っていよう。自分は、ノノを、手のひらに置くと皆に見せた。すると、ノノは、ジャンプして、フミカちゃんの胸に着地する。 そして、跳ね回る。揺れる胸。弾むノノ。
「主よ、これはでかいの、良い弾力だ」
止めてくれベヒモス。何をやっているんだ。精霊王の名が泣くぞ。
夕食を食べつつ皆の話をきく。実際に剣を振るったり、法術使ったり、気を使って戦ったりするのは始めてだったが、教えてくれている人に、極めて上達が早いと言われたそうだ。1ヶ月ぐらいで、実戦練習に入れるだろうと。なるほど、土日は、こちらの世界でも休みみたいだから、後20日位か?
冒険者ギルドも行かないといけないし、やることはいっぱいありそうだ。
翌日、お弁当を作ってもらい、朝から島に渡る。ノノこと、ベヒモスさんの指導で召喚魔法を使っていく。
「主殿、ここの周囲には水が多い。次は、水の精霊を召喚してみるか」
「宜しくお願いします」
「うむ、精霊界とゲートを繋ぎ、そこから水が出てくるイメージをするのだ」
俺は、手のひらの前に精霊界のゲートをイメージし、そして、そこから水が溢れるイメージをする。魔法注ぎ込む。すると、ゲートが光る。そして、そこから 半分透き通った。青い女性達が飛びだして来て空中を泳ぎまわる。
「うむ、ウンディーネだな。それにしても、主殿欲張りだな。凄い数だ。早く契約すると良いぞ」
「次は風の精霊にするか。水の時と同じく、ゲートから風がふくイメージだ」
俺は、手のひらの前に精霊界のゲートをイメージし、そして、そこから風がふくイメージをする。魔法注ぎ込む。すると、ゲートが光る。そして、そこから 下半身が竜巻のようなもので覆われた巨人が現れた。まあ、少し全体的に透けているけど。これがシルフかな? ずいぶんごついな。
「主殿、何てものを呼び出しておるのだ?」
ん? すると、声が響く。
「わしを呼び出したのは、お前か。わしは、風の精霊王ジンだ」
おおおお。二人? 目の精霊王だ。
「主殿、ジンも召喚するとは、呆れたもんだ。まあ、わしよりは、小さいから力はわしの方が強いがな」
ちょっと疲れたな。少し休んで、午後に備えよう。弁当を広げる。お弁当は、サンドイッチ? だ。フランスパンのような細長いパンに、切れ込みが入り、スパイシーな野菜や、焼いたサバが入っている。意外と美味しい。もうひとつは、サバの代わりに羊肉の焼いたものが入っている。こちらも、美味しい。さて、少し昼寝しよう。
「主殿、主殿、おい!」
「うわっ!」
目を覚ます。ノノこと、ベヒモスに起こされた。
「おはよう。さて、午後の作業していきますか」
「うむ、主殿、いまいましいが、次は火の精霊だ。くれぐれも、あいつを呼び出すなよ」
「あいつ?」
「うむ、火の精霊王イフリートだ」
「仲悪いんですか?」
「いや、前の精霊の導き手と呼ばれた時に、やつにいろいろとな」
「そうだったんですね。なら、召喚しましょう。だって、今回はベヒモスさんが、一番相性良いんですから。前回はイフリートさんだったんでしょ?」
「そう言われればそうか。なんか楽しみになってきた。では、やるか主殿」
「水の時と同じく、ゲートが炎がふき上がるイメージだ」
俺は、手のひらの前に精霊界のゲートをイメージし、そして、そこに炎がふき上がるのをイメージをする。魔法注ぎ込む。すると、ゲートが光る。そして、そこから、炎の巨人が現れた。
「わしを呼び出したのは、お前か。わしを火の精霊王。いてっ!」
ベヒモスさんが、イフリートに殴りかかる。契約するまではやめてください!
「あらためて、わしが火の精霊王イフリートです。えーと、契約されますか?」
なんか嫌だな。丁重な精霊王って。
契約を終える。
「主殿のために全力で働いてくれよ。イフリートよ」
「はい、それはもちろん。全力を尽くさせて頂きます。はい」
イフリートが帰ると、さて続きだ。後はどんな精霊が良いのかな?
「後は、どんな精霊が良いのかな?」
「うーむ、戦い方によるな、まあ、わしがいて、ジンがいて、イフリートがいればほとんどいらない気もするが」
少し考えて。
「戦いの補助としては、暗い場所を明るくする光の精霊や、逆にその場を闇で覆う闇の精霊。姿を隠す木の精霊。なんかも必要と言えば必要かな」
俺は言われるままに、光の精霊ウイルオーウイスプ、闇の精霊シェイド、木の精霊スプライトを召喚する。
ここまでやるとさすがに疲れたな。さて、明日は、どうするか?研究室で、召喚魔法の理解を深めるか、それとも冒険者ギルドに行くか。
半分寝たような状態で、夕食を食べる。
「1日で、いろいろ呼びすぎなのだ主殿」
普通は1日1体ずつゆっくりやっていくものらしい。早く言ってよ。
「うるさいぞ、ノノ」
思わず。キュイ、キュイ鳴いているノノを注意する感じになってしまった。すると、ノノは、慌ててフミカちゃんの方に向かい、胸に飛び込む。
「やめてよ、ノノ。くすぐったいよ」
このエロ精霊!
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