第3話 史華ちゃんとデート?

 ベッドの上で目が覚める。昨日のバイトハードだったから、少し寝すぎたかな? しかし、よく寝た。



 自分は、起きるとスマホを手に取る。10時か。待ち合わせは、13時だったな。





 土曜日バイトの休憩中等に、LINEのやり取りをして、予定を決めていったのだが、それにしても、ラッキーだよな。史華ちゃんの友達が用事が出来たから、映画行けるし、さらに、夕食まで。本格イタリアンか~。




「日曜日楽しみにしてます♥️ 待ち合わせ何ですけど、少し早めに集まって、ティールームでお茶しませんか?」



 史華ちゃんから、LINEが送られてきた。♥️マーク何て、女の子っぽくて可愛いな~。



「いいよ。だったら、バイト代入ったから、夕食も軽く食べる? まあ、六本木ヒルズとかの高級店とかは、無理だけど(笑)」



 はい、送信と。おっ、すぐ既読がついた。………………。返事こないな。まあ、既読になったからって、すぐに送り返すわけじゃないけど。自分は、立ち上がって、仕事に戻る。





 夕方5時、バイト終わった~。結構きつかったな。さて、史華ちゃんからLINEきてるかな?




「六本木ヒルズ内ではないのですが、イタリアンのお店「ラガーロ」のただ券をもらったので、御一緒しませんか?」



 えっ? 凄くラッキーだけど良いのかな?

それにただ券? 食べログで、「ラガーロ」を調べる。かなりの高級店じゃないか。



「凄く嬉しいけど、自分なんかと一緒で良いんですか?」



 と。送信。



「はい。楽しみにしてます♥️」




 家から駅までは歩いて5分、六本木一丁目駅までは、南北線で10分くらい、そして、六本木ヒルズまでは、ゆっくり歩いて10分くらいか? 12時半に出れば良いかな?




 さすがに、ギリギリは、申し訳ないかなっと思い直して、家を少し早めに出る。





 結構早く到着してしまった。ぶらぶらして時間潰すか。ん? あれ、史華ちゃんかな?



 スマホを見ながら、前髪ちょいちょいといじっている。いつものラフな格好と違って、大人びて見える。濃いベージュって言うのか、ワンピースに、ベルトでウエストをきゅっと抑え、さらに、胸のボリュームがアップしている。


 そして、七分袖の肩にかけて黒のレース地の素材になっている。どういう構造になっているんだ?


 さらに、透け感と言うのか、肩のレースが下品にならない感じで、ピンクのストール?をかけている。




 と、再びスマホを手に、ちょいちょい前髪をいじり始めた。史華ちゃんと、スマホ越しに目が合う。ぱちくりとまばたきを2回ほどした後、スーっとスマホが下がって。そして、こちらに、パタパタ走ってくる。



「岳先輩いつから見てたんですか~。来たなら、声かけてくださいよ。それに、LINE送ったのに、返事くれないですし」



 えっ、LINE送ってくれたの。慌ててスマホを開く、あっ。


「おはようございます。これから家出ますね。楽しみにしてます♥️」


「先輩も、南北線ですよね? 今、目黒停車中です。ちょっと、先輩の事探しちゃいました」


「ちょっと早く到着しちゃいました。待ってます。あっ、でも慌てないでくださいね♥️」



 と、なっている。やってしまったか?スマホあまり開かないからな~。


「ごめんね。史華ちゃん」


「もう、いいですよ~。それより、ティールーム行きましょ」




 と、史華ちゃんが腕を組んできた。胸が、腕にあたる。ムギュっ。自分は、史華ちゃんに引っ張られるように歩く。なんだこれは夢か?





 メニューを開く、ケーキがある。おっミルクレープがある。意外と好きなんだよねこれ。えっと値段はと。900円か。これは、高いのか、安いのか? まあ、財布には、ダメージあるけど、えーと、ケーキセットは+500円! 平常心、平常心。史華ちゃんは、フルーツタルトをケーキセットにする。



 ケーキと、紅茶が運ばれてくる。ケーキ、結構大きいな。嬉しいな。さすが900円。フォークを入れる。クレープ生地と、クリームが交互にフォークの上に乗っていく。そして、口に入れる。旨い! 上品な甘さだ。クリームの甘味がしつこくなく、爽やかに口の中に広がり溶けていく。



 そして、紅茶。ポットに入ってる。注ぐと、よい香りがする。たまに入れる。家のティーバッグの紅茶とは、段違いだ。ちょっと感動する。




 自分は、美味しいケーキと紅茶に感動しつつ、これから見る。映画について語ってしまった。


「スカイウォーズ最初見たのはさ、小学校の2年位だったかな? 父親が好きで、ほぼ無理矢理見せられて、だけど面白くて、それで、父親に頼んで、DVD買ってもらって、見まくったんだ」


「そうなんですね。わたしは、最近、見始めたんですけど、はまっちゃいましたよ」


 等と二人熱く語るうちに、あっという間に映画の時間が近づいてきた。






「ごちそうさまでした」


「うん、美味しかったね。さて、映画館向かいますか。えっと、チケット代は、いくら?」


「さっき、ご馳走になったんで、大丈夫です。カードで、払ったんで料金わからないですし」


 いいのかな? まあ、そう言うんなら。


「ありがとう。では、ありがたく」


「はい。じゃ、行きましょ♥️」


 と言って、また、腕を組んで歩き始めた。しつこく言うが、胸が~、腕に当たる。これは、むっつり変態の自分には、つらい。






 二人歩く、外に出た、六本木ヒルズから出るのか? と思ったら、この場所全体で、六本木ヒルズと言うそうだ。勉強になりました。





 映画館に入る、まずは、あれでしょ、ビールは途中トイレ行きたくなるから避ける。コーラと、キャラメルポップコーンペアセットと言うのを頼む。



 席に座る。さあ楽しみだ。





 映画は、良かった~。ああいう結末とは。だけど、うん、言っちゃいけないかも知れないけど、初代監督とかで撮り直ししてほしい。いや、とても面白かったですよ(笑)。






 映画を見終わると、六本木ヒルズの周りをぶらぶら歩きながら、散歩しつつ時間を潰す。また、映画について熱く語る自分。しゃべり過ぎかな?



 そう言えば、六本木ヒルズの中で、ウインドウショッピングで時間潰すか聞いたけど、今日は買い物モードじゃないそうだ。






 という訳で、来ました。「ラガーロ」。自分が、想像していた以上に、しっかりした、お店ではないですか! 完全に、自分場違い?



 お店に入ると、黒服?の方が出迎えてくれる。


「いらっしゃいませ。湯本様、お父様には、いつも御世話になっております。どうぞ、今日はこちらの席で御用意致しております」


 いつも? お父様?




 緊張してきた。えっと、まず何するんだっけ? スマホで調べておけば良かった。




 おしぼりを持って、ソムリエ? って言うのかな。が、あらわれた。一枚の紙を置きつつ、


「いらっしゃいませ。本日ですが、コースはこちらになります。何か、苦手な食材、アレルギー等ございますでしょうか?」


「えっと、ないです。史華ちゃんは?」


「わたしも、ありません」


「かしこまりました」


「付属して、ワインペアリングになっていますけど、よろしいでしょうか?」


 ペアリング? ああ、確か料理に合わせて、ワインが、出てくるやつか。もちろん、それがよい。と言うか、それしかない。じゃないと、バイト代が、消滅してしまう。


「それで、お願いします。あっ、史華ちゃんは、どうする?」


「わたしも、同じくです」


「かしこまりました」


 と言って去っていった。 ふー。




「いや、ごめんね。こういう店来たことないから、慣れてなくて」


 すると、史華ちゃんは「くすっ」と笑い。


「岳先輩って、正直ですね。気取らないと言うか。わたし、そういうところ、好きですよ」


 ん? 好きですよ。ああ、気取らない人が好感もてるってことか。好感度アップかな?




 スパークリングワインが運ばれてきて。


「乾杯」


 猫での、乾杯とは雰囲気が違うな。自分は、気取らない方が好きだけど。


「今日は、付き合って頂いて、ありがとうございます」


「いやいや、こちらこそ、楽しんだ上に、こんな良いお店に来れるなんて、もう、最高だよ」


「そうですか、良かったです。じゃ、また、来ましょうね」


 また? ただ券そんなに、貰えるのか?




 料理が運ばれてくる、前菜は、トラフグのフリッタータ。フリッタータ? 揚げたやつ? って思ったら、オムレツみたいなのだった。




 そして、二つ目の前菜は、マグロのカルパッチョ。三品目に、こちら当店のスペシャリテになりますと言って、フォアグラのグラタンが出てきた。凄く美味しい。ちっちゃいけど(笑)。


 そう言えば、スペシャリテって、看板メニューって事だそうだ。勉強になりました。





 自分は、この辺になると、お酒の勢いもあり、さっき見た映画のことや、部活のことを、また、語り始めた。


「あのね、合気道の技は、相手の力を受け流して、かけていくから、余計な力を、入れないで、脱力して、構えた方が良いんだよ」


 なんて、偉そうに語る。と、また、史華ちゃんが笑い。


「大先輩言ってましたけど、岳先輩の技は、天才の技だから、わたしは、真面目に地道にやれって言ってましたよ」


 なに? 自分こそ、天才のくせに、何を言ってんだか? 自分は、やる気ないから、いかに手を抜くかしか、考えてないぞ。





 食事は、進む。パスタが、二品来て魚介のパスタと、ラグーパスタ。そして、メインで、牛肉の炭焼きが出てきた。美味しかった。




 そして、デザートで、レモンケーキと、マスカルポーネのジェラート。紅茶を飲みながら、デザート食べていると、史華ちゃんの様子がおかしい。キョロキョロ、落ち着かない。トイレ行きたいのかな? と、


「あの、岳先輩、わたし先輩のこと。憧れてました。えーと、ようするに、好きです。その、お付き合いしてください」


 えっ? 誰が? 誰のこと好きだって?


えっ?


 頭が、混乱しているが、理解できていないが、口から出てきた言葉は、


「俺も、史華ちゃんのこと、好きだよ。よろしくお願いいたします」


「嬉しいです♥️」





 それ以降記憶がさだかでない。一緒に途中まで帰って、目黒駅でおろされたようだ。

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