第17話

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翌日、シスターにいじめられる前に起きていた。

「おはよう、なんだ起きてたの?よかったの?いじめて欲しかったんじゃないの。」

正直シスターのいじめとは何か考えていたら夜が明けてずっとテレビを見ていたなんて言えなかった。

「いいから、その話はいいから。」

「そう、じゃあ今度にするわね。」

そう言うとシスターはキッチンに向かって行く。

「朝ごはんか?手伝うよ。」

「そう?でも大丈夫、私がやるわ。」

顔だけで振り返って返事をされた、なぜかシスターがキッチンで料理をしている光景に慣れてきたように感じる。

手持ち無沙汰になったためテレビをつけてスマホで行く予定の喫茶店について調べる。

「へぇ、やっぱりあそこの紅茶有名なのか。」

評価サイトには本格的なお茶が飲めると知る人ぞ知る名店と有名らしい、他のサイトを調べてもかなりの高評価らしい。

こう見てしまうと、初めて行った時の俺達の態度に申し訳がなかった。

「はい、出来たわよ。何調べてるの?」

「ん?これ。」

隠し事でもないのでスマホを見せる。

「ふーん、そうなんだ。確かにいいお茶だったわね。」

そう言いながらシスターは朝食の用意をする、これも5番の家で学んだのかどこか気品に近いものを感じる。

「話が終わったら、私5番の家に行ってくるから。」

「え?なんで‥。」

まだ5番の家に未練があるのかそんな事を言ってくる。

用意が終わりシスターは食事を始めた。

「あの家に私の私物がいくらかあるから取りに行くのよ。心配した?」

遊ばれた気がするが納得した、確かに休みの間は5番の家にいたのだ。寧ろ無い方がおかしいかもしれない。

「‥俺は行かないでおいた方が良いな。」

「そうね、貴方は被害者であっても。向こうは貴方が諸悪の根源でしょうしね。」

理不尽な話だ、だが事実向こうの目からはそう見えるのだろう。

俺もそう聞いて食事を始めて。

「大丈夫よ、すぐに帰ってくるから。」

やはりしばらくこの家で生活する気か。構わないし両親も知ってる事だ。

「でも荷物をここに長く置く気はないわ、教会に送っていいって言われたから。」

「そうか‥。電話したのか。」

シスターは教会に心配かけないためにあまり電話をかけていなかったらしいが。

「ええ、驚いたし心配されてたわね‥。」

なんて言われた?そう聞こうとしたが止めておいた、これはシスターしか知ってはいけない教会との関係なのだから。

「ならもうやれるな。」

「当然よ、そう言ったでしょ。」

確かな意識を感じもう何も言わない事にした、これ以上はシスターに無礼だろう。


食事が終わり、片付けて天気予報を二人で見ていると。

「流石に三日連続は嫌ね。洗濯してるけど家に行ったら着替えなきゃ。」

今着ている服を見てシスターがそう言っている。

そういえばそうだ、シスターは会った時から同じ服を着ている。

「貴方のジャージをずっと借りてるのも悪いしどうにかしなきゃね。」

ジャージか確かにこのままシスターが使い続けてシスターの匂いが染み付いたら学校で眠れなくなる。

「寝る時下に何もつけない生活もこれで終わりね。」

ん?洗濯機の中に入る時はいつも下着があったが、もしかして。

「なぁ‥もしかして。」

「そうよ、ジャージの下は何も着てなかったわよ。」

ゾッとした‥。危険だったかもしれない、それで迫られたら俺は断れたか。

「想像してるの?」

「え?」

気づいたらシスターがすぐ隣にいた。

「大丈夫よ、もう写真はとらないから。でも個人的に貴方の弱みを握るのはありかもね♪」

軽く息を吹きかけてシスターは玄関に向かった。

一瞬だが呆然と、してしまった。

「行くわよ、私を守ってくれるんでしょう。」

シスターの声で我に帰りテレビや電気を消して玄関に向かう。

もう靴を履き俺を待っていた。

「‥念のために2番と秘書さんに連絡した。」

「ええ、わかったわ。力を借りる時があるかもしれないしね。」

玄関を開けてシスターは外に出ながら扉を開け続けてくれる。

「じゃあ行くか。」

今更返事はしない、強気な笑顔で返してくれた。

もう戻れない、シスターを守る。そう決めた。


見た目の外壁は漆喰と黒い木の柱に見立てたモルタルそして大きめの窓、実際に使ってる資材はわからないけど、悪くない見た目だ。

前に入った時は急だったので見つけるのに苦労するかと思ったが意外と簡単に見つけた。

「まだ来てない見たいね」

店に入るとシスターはそう言った。

「いらっしゃいませ、2名様ですか?」

「すみません、後からもう一人くるので」

そう告げて4人掛けの席を店員に案内してもらった、今の時間は混んでいないらしく、スッと通してくれた。

二人で片方のソファーに座り、教育係を待つ。

「いらっしゃいませ。」

ドキッとしたが、シスターが「違うわ。」と言って否定する。

いつ来るかまだ来ないか、ここに来て10分。この10分が恐ろしく長く感じた。

シスターも緊張している様で、さっき注文したお茶があまり進んでいない。

「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」

「いいえ、待たせてる人がいるはずです。」

来た、あの人か。

シスターの方を見ると首を縦に振った。

「こちらです、どうぞごゆっくり」

「ええ、ありがとうございます。」

案内してきた店員さんに軽くお辞儀をして向かいの席に座る。

年齢は確かに50程だろう。

俺の顔を見て鼻で笑ってくる。

「はじめまして、私は5番様の家で」

「いいわよ、そんな自己紹介。もう済ましたわ。」

いきなりシスターがそう言って教育係の言葉を遮った。

「そう随分と準備がいいのね。側室として成長したようね。」

言葉は優しく言っているが確実にカチンときたようだ、今目が鋭くなった。

「それでどうだったの?その子から何をされたの。」

勝利を確信したような欲望塗れの目をしている。目の前に俺がいるのに隠しもしないで言ってきた。そうか、こいつがシスターを脅した女か。

「写真があるのでしょう、早く渡して。貴方のお家にはすぐに連絡させてもらいますね。私の5番をはめた罰としてね。何か言うことは?」

なるほど5番も哀れだ、こいつに教育されたのも含めてああなった要因か。

「ないわよ。」

「‥はぁ?」

「馬鹿じゃないのあるわけないでしょ。」

一瞬、教育係は何を言われてるのかわからないっといった様子で呆けた、しかしシスターは続けた。

「私はもうやめたのあなたの言いなりは、私は5番の家から出て行くわ。」

シスターはキッパリと教育係に告げた。

「‥私を騙してここに呼び出したの?どうなるかわかってるの?」

「知らないわよ、もう私には関係ない事だから。」

教育係はまたシスターを脅そうとしたがもう聞く耳持たないといった感じで教育係を突き放した。

「そう‥。あれだけ大事にしてた教会は見捨てるのね。かわいそうにあなたが少し我慢すれば今の生活が続けられたのにね。」

人の罪悪感を利用しようとしてくる、典型的な脅し方。だが誰にでも効くだからこそ古くから使われてきた方法だ。

「好きにすれば、そもそも教会への融資なんてやめてるんでしょ。」

チッ、知らないと思っていたのかそこを突かれて急激に不機嫌になる。

ふんっ、と言いシスターは少し座りなおし上から目線の姿勢になる、そしてわかった教育係はいつもこの手でシスターを脅していたのか。

なんとなくだがシスターがされてきた事がわかってきた、シスターは過去・現在・未来を5番の家に握られていた。

過去は教会、現在はミッションスクールの学費、未来は5番の側室としての将来。

だが今、過去である教会への鎖が解けた。

「融資の件は私も知らなかった事なの、今話そうと思っていたのごめんなさいね今までそれを盾みたいにして私も本当はしたくなくて仕方ない事だったの。」

よくもまぁぬけぬけと言えるな、さっきまで見捨てるだなんだ言っていたのに、やはりこれが5番の教育係なのか‥。

呆れるような言い訳を使って周り呆れられ放置され、そのままずるずるとついた立場が教育係って所か。

「でもいいの?貴女一文無しになるわよ、今から他の中学に入るの?高校や大学は?このご時世一人で暮らすなら学歴が必要じゃない?」

焦っているのか饒舌になり始めた。

確かに教会に戻るとしても今の学校の学費を払う財力は恐らく教会にはないだろう、学術都市に入校が決まれば学費は貰えるだろうが、遡って払わせて貰えるか。

「それはそっちが払いなさい。でも私は学術都市に行くから中学まででいいわ。」

最初何を言っているのかわからなかったが、確かに今シスターは教育係にそう言った。

「何言ってるの?あなたウチの家から離れるのでしょう、学費を払うメリットがもうなくなるのに払えって言うの?」

教育係も混乱しているようで非難せずただただシスターの命令に近い返事に混乱している。

「そうね、私は5番の家から離れるわ、でもお前達が私には命令した内容はしっかり残ってるのよ。」

スマホを取り出しシスターは音声を流し始めた。

それは前に喫茶店に来た時の内容でシスターに俺の弱みを握れと言っている内容そして教会への融資を盾にする脅しだった。

それを聞いて教育係は怖いほどに震え始めた。

「そっそんなもの!何の、いつ!?」

「私はあんたの命令が怖かったわ、本当に。だから一言一句逃さないようにいつも録音していたの。」

シスターはこの音声で教育係を5番の家を脅すつもりらしい、本格的に追い込まれ始めたのか教育係は最初の余裕が消えた。ガタガタガタっっ‥、どうにか落ち着こうとカップを手にするが、カップが持てない程に手が震え始めていた。

「皮肉よね、あんたの言葉に怖がっていた私があんたの言葉に感謝する時が来るなんてね。何か言うことある?」

さっき俺が言われた事への意趣返しか、シスターは教育係が俺に言った言葉をそっくり返した。

この話の内容はきっとシスターは誰にも聞かれたくない内容だ、でもそれを使ってシスターは5番の家を脅すと決めた、その覚悟は並じゃないだろう。

「そんなもの!録音しろなんて命令してない!今すぐ消しなさい!でないと!」

「それが言うこと?自分の立場わかってる?」

主導権は完全シスターのものになった、親権は教会にあるのは既に知っているのでこれで過去と現在の二つの鎖が解けた。

「いいの!?5番様の側室になっておけば生涯安泰よ!今までの人生がバカらしくなるほどの生活が出来るのよ!あんな教会で!あんな訳の分からない無意味な街の学校に行くの!?今ならあなたをそこの4番と同じ学校に通わせてもいいのよ!」

無意味な街か、俺にもあの場所がどんな街か知らないが5番の家なんて歯牙にも掛けない家や会社や組織がこぞって出資している場所に無意味か‥。

今の発言を聞く人が聞いたら5番の家はさらに追い詰められるだろう。

それにあの学術都市は俺やシスター、そして2番にとっての安息の地になる、その場所をこいつは今、貶した‥。

こいつとシスターの関係を聞いてシスターを通じて俺の敵だと思っていたが、今のでこの教育係は完全に俺の敵だ‥。

「諦めろ、これ以上何も言うな。もうシスターを解放しろ。」

最後の情けだ、これ以上の発言はお前どころか5番の家の名に傷をつけることになる。そしてこれで未来の鎖が解けた。

ガチャンッ!俺の言葉でキレたのか、教育係が突然拳を机に叩きつけてカップが振動で震える。

「‥黙って聞いてれば‥わかってるの!?私はあの5番の家の人間よ!お前達みたいな子供が話していい相手じゃない!その私を脅す?身の程を知れっ!」

ガチャン!ガチャン!ガチャン!駄々っ子のように机を何度も両の拳を振りおろす。

もうこいつはダメだろう、自分を5番の家の血筋だと思っているのか?。だとしたらさらにダメだ。5番の家の血筋が未成年を脅してた事になる。

「今の話は5番の家の総意って事でいいんだな?聞いたか?シスター。」

「ええ聞いたし、録音したわ。これが5番の家の総意ね。」

スマホでしか録音してないと思っていたのか、シスターが小さいマイクのような機械を取り出し今までの話を流し始めると、ついに教育係の顔に絶望の色が指した、さっきまで頭に血が上り顔まで赤かったはずなのに血の気が引いて白くなっていく。

「‥もうやめなさい。」

シスターが悟すように言った。

「ふざけないで‥。そこの4番さえいなければ5番様は!私は!。」

「2番さんの家への縁談のキッカケは5番でも持ちかける話になったのはアンタが言い出したんでしょ。」

教育係が縁談を?あり得ない話ではないが確実に格上の家に一使用人がそんな事をするか?

「アンタは私みたいな側室の教育係止まりだったものね、でもアンタはいつも言ってたわね。5番の教師役にはなれなかったって。」

5番の教師役?この教育係が5番にとっての教師でもあるのではないのか?

俺が疑問を持った事に気づいたのかシスターは話を続けた。

「5番の教師役はそれなりの家柄と実績が必要なの、でもこいつはー」

「やめなさい!」

教育係の声が店中に木霊した。

店員も遂に無視できなくなったようでこちらの様子を伺い始める。

家柄と実績、もしかして‥この人も‥。

「こいつは私と同じ‥孤児よ。」

絶対に触れられたくない事、自分の聖域を踏みにじられた。

ガチャン!再度、拳を机に叩きつけ顔も下に向ける‥。

そして首がおかしくなるのではと思う程勢いをつけて俺を睨んできた。

「私は!5番様を愛し!家を愛してた!でもご当主様は許して下さらなかった。私は5番様をあの学校に入学させた実績を持っていたのに!」

そんな苦労話を聞いた所で、もうこの人を許そうとも思わないが、憐れみを感じた。

「入学が終わったら私はお前みたいな側室の教育係にされた!でもいつか5番様が私を教師役にしてくれると!信じてたのに‥お前が邪魔をした!」

そうか、俺の弱みを握る事を言い出したのはこの人なのだろう、しかも5番の家にとってもそれは願ったりかなったりだったのかもしれない。

「俺は被害者だ、お前の所の5番が加害者だこの関係は変わらない。寧ろ式の練習の邪魔をしたのは5番」「キャアーー!黙れ!」

教育係のヒステリックな叫び声に背筋が凍った。

「お前さえいなければ!私は、もっともっと!」

歯をむき出し、飛びかかろうとするように机に手を付いて机の上に体を乗せるように仰け反らせるそして、あの時の5番のような血走った焦点があってない眼球を向けてきた。

「お前がいなければ!お前さえいなければ!あの子は!」

お前がいなければ!5番に言われた事を思い出してしまった。

教育係と目が合った瞬間体が震え始めてしまった。

ふる‥え、て‥思い‥出して‥しま‥った‥。

怖い‥怖い‥怖い怖い怖い!トラウマが、又‥出てキ‥タ。

ふ、震えを‥止めないと!、隙を隠さないと‥。

震える手を震える手で止めようとするが抑えきれない、なんとか足とソファーの間に手を入れて止めるが今度は足まで震え始めた。

寒い、寒い寒い寒い!まだ教育係は気づいてないがこれでシスターの足を引っ張ってしまってはいけない。

視線が合わせられなくなってきた、人の、5番の家の人間の敵意が怖い‥!。

息を少し止め吐き出すが何の意味もない、頭の震えをなんとか堪えるが時間の問題だった。

もうダメだ、ここにいられない。ここがあの部屋に見えてくる、早く出たい!

無理だっ‥!、ここから出たい!早く出ないと!あぁ‥!怖い‥怖い怖いコワイ‥!

2番‥!2番に会いたい!‥助けて、俺はもう無理だ!

「ぁ‥。」「‥‥。」

我慢出来ずに席から飛び上ろうとした瞬間、机の下からシスターが手首を握ってくれた。

「‥言ったでしょ。私が守るって‥。」

震えが‥止まっ‥た、まだ教育係は睨みつけて言葉をぶつけてくるがそれも‥まだ我慢出来る‥。

足とソファーの間にある手を抜きシスターと手を繋ぐ。

「‥大丈夫、私がここにいるから‥。」

シスターの小言が聴こえてくる、それだけしか今は耳に届いていないお陰で教育係の言葉は聴こえてこない。

落ち着くために気づかれないよう静かに深く息を吸う。

「‥ありがとう、落ち着いた‥。」

顔こそお互い向けないが俺の言葉が伝わったようでシスターは手を繋ぐ力を軽くしてくれた。

「仮に俺がいなくても5番は2番と一緒にならなかったと筈だ。」

なんとか自分も教育係を睨み返して、こちらも言葉をぶつける。

「‥何でそんな事わかるのよ‥。」

怒り疲れたのか教育係は大人しくなった。

「2番が言ってたが、俺と2番がこうなる前に5番の家から連絡がきたって。だからどちらにせよ2番の家は縁談を断っていたと思うぞ。」

「それがなんなの?そんなに5番を馬鹿にしたいの?」

この人は5番を使って成り上がろうとしていた、そして恐らく自分と5番の家を同一視もしていたのだろう。だから家の名前に傷をつける要因である俺を許さない。原因である自分を改めないで、現実として被害者である俺を責める、きっと俺が5番に悪影響を与えた、だからあの事件が起きた。よって得意の脅しをする。そもそも被害者である俺がいなければ事件は起こらなかった、そう思っていたのだろう。

「最後に教えてあげる。」

「‥何‥。」

シスターが教育係に最後の言葉を送る。

「青は藍より出でて藍より青しって知ってる?」

「それがなんなの!?バカにしてるの!?」

店員さんがすぐ近くまで来ている、もう限界だろう。もっともここまで騒いでも何も言わなかったのは店員さんも教育係の激情にビビってたみたいだが。

「アンタの紅茶、それだけは悪くなかったわよでも」

「‥‥。」

もう怒鳴りすぎて体力の限界か教育係は睨みながら、だが机に寄っ掛かり肩で息をしている。

「でも、もう私の方が上手いわ。さようなら。勘定よろしくね。」

そう言うとシスターがソファーから立ち上がる、そして今だに手を繋いでいるので俺も一緒に立ち上がる。

「おっお客様。またタクシーですか!?」

近くにいた店員さん焦った様子で言ってきた、あーこの人あの時の店員さんか今日もいたのか、申し訳ないな。もしかしてここの店長かオーナーなのか?

「あー、タクシーじゃなくて救急車であの人もう動けないみたいなので。」

「え?救急車ですか!どこかお身体でも?」

「そんなとこです、でも大丈夫です死んだりしないと思います。」

癇癪で死ぬ事はないと思う、多分。

「それと代金はあの人で、ご馳走さまでした。」

シスターは振り返えもせずに、教育係へ指をさす。

救急車に乗せる人から代金取れなんてとんでもない悪党に見えるが向こうが悪党なのだから仕方ない事だ。

そして、オレ達は手を繋いだまま店を後にした。


「んー!終わった。最後は意外とアッサリね。」

シスターが伸びをして背筋を伸ばしていた。

喫茶店から出た俺たちは映画館前で立っていた、別に何か見る気もなかったがそこが1番駅から近かった。

「とりあえず家に行くんだろ?」

「ええ、そうよ服とか取りに行かなと。」

軽い調子でそう返事をされた、本当にアッサリ終わった。

「大丈夫よ、すぐに帰ってくるからでも多分お昼過ぎまで帰って来ないから一人でご飯は食べてね。」

伸びが終わりスマホをいじりながらそう言った。

「一人で大丈夫か?」やっぱり不安だ向こうの家で何かされないかと考えてしまう。

「大丈夫だから、今までの録音に‥それにこの写真持ってるから。」

そう言ってスマホを見せてくるといつ撮ったのか俺と一緒に料理をしている写真だった。

「これがどうした?」

写真と言われビクついたが別になんてことのない写真だ。

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