初めまして、えくぼ えみと申します。
「開いた瞬間に黒いじゃん? そしたらなんか溺れそうになるっていうか。」
はい、このキャッチコピーで確信致しました。名作です(私語失礼します)。
そこに惹かれて、今回読ませて頂きました。やはり文章量の多い小説を手に取り、最初に開いた瞬間、誰しもが一度は思うことではないでしょうか。
物語の主人公である「私」は、等身大で馴染み深いキャラクター性で魅力的でした。しかし、読み進めていく内にその認識は大きく変化した。
第一話の最後。人気アーティストによる新曲が出た時、「愛」についての疑問が散りばめられています。十代ならではの疑問を、まるで物書きのような緻密な言葉で誰に聞くでもなく自身に投げています。
その中でも「これが無いと歩けないほど、駅前と学校の中は寒いんだ」この言葉は、本当に核心を突いたものだと思いました。流行という実態があるようでないようなものを気にする十代ならではの自問自答――。それをここまで詩的に表現された事に、ただただ脱帽致しました。
その後、第二話にて彼女の表現力は覚醒していきます。クラスの隣の席にいる気になるあの男子――。彼への想いを綴る心情描写は、まるで小説そのものです。
1500円で買った本の文章量に圧倒され溺れてしまいそうとまで思っていた彼女は、倒れそうになった自分を支えてくれた彼の瞳に、過去の記憶と現在の情景に当てはめていく…。片想いでも気になる異性の瞳は、いつだって宇宙のような神秘的な輝きに満ちて見える。溺れてしまいそう、は本だけではなく彼の深い瞳にも当てはまる表現なのだと思いました。
そして彼女の淡い恋心は、彼を知る為につい買ってしまった本以上の価値を知ってしまったのではないかと、そう思いました。
物語は終わってしまいますが、彼女と彼の物語はこれから始まったばかりです。
何と素晴らしい締めくくりでしょうか。
堅苦しい上に滅茶苦茶な長文感想になってしまいました。本音を言いますと、終始「きゃあああ!ピュアだわ!これは純愛よ!」と一人取り乱しておりました。私の語彙力が間に合わず、つい白熱してしまい、長々と失礼致しました。
重ねて感謝を述べさせて頂きます。素敵な作品を有難うございました。これからも応援しております。
作者からの返信
えくぼえみさん
初めまして。
コメントありがとうございます!
気を付けて書いたところを全部言ってくださってありがとうございます!!
等身大の学生の青春のひとかけらを書かせて頂きました。
アーティスト、音楽に対する思いだとか、流行に過敏でなければいけないことだとか。普通の女の子でも、多分そう言う堅苦しさみたいなものに縛られて息苦しく生きているんだろうなあと思いました。
長文でも「きゃああああ!」でもどちらでも嬉しいです。
どちらも作品を真剣に最後まで読んでくださったということなので。
読後の喜びが伝わってきて、改めて書いて良かったなと思いました。
ご丁寧な感想をありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!
なんか…………こういう詩的なお話って久しぶりに読んだ気がします。うまく言えませんが、昔国語の教科書を読んだ時に感じた「あ、いい文章だな」って感覚が蘇ってきました。そしてシンプルにこういう文章書けるってすごいなって。いいものを読ませていただきました。ありがとうございます。
作者からの返信
てるまさん
コメントありがとうございます!
詩的なんですか……他の方にも言われ「はて?」と思っていましたが、どうやらそういう書き方をする癖のようです。
国語の教科書とは、なんという誉め言葉でしょう。読んで頂き、ありがとうございました!
松宮さんのオススメとあらば、と読みにきました。
いやぁ、天才ですね。単なる天才がいる。一気に世界に引き込まれました。
紋切り型の表現をこれでもか!というほど削ぎ落としていることに、覚悟のようなものを感じました。それともこれが素でしょうか?やはり天才か。
お話はかわいらしいのに、散りばめられた文字たちには、むしろかわいげがないほどに強い拘りを感じました(変な言い方ですが、はちゃめちゃに褒めてます)これは主人公が本が読めない代わりに、感覚が研ぎ澄まされて独特な世界観を持っていることを表現してるのでしょうか。だとしたら、ただただ脱帽するし、その試みは大成功だと思います!
素敵な作品でした。最高でした。ありがとうございました。
作者からの返信
コケコッコーかあちゃんさん
コメントありがとうございます!
松宮かさねさんにはあとでお礼を言っておきます。
作品世界に入って頂けて良かったです。
表現方法ですが、この主人公ならこういう表現をするはず、と言うことで、推敲はかなり頑張ったので、天才ではないですね(笑)
でも、私も主人公同様に読書が苦手なので、もしかしたら感覚は似ているのかも知れません。
お読みくださり、ありがとうございました!
やはり詩一さんはとんでもない方ですね……!
3000字と少しという文字数なのに、ものすごく大きなインパクトを放つ短編だと思いました。
冒頭の活字の海に溺れるところから、心をわしづかみにされました。
そして「あいつ」の描写の細やかさ。耳毛の描写を見たときに頭の中で登場人物たちが、温度のあるリアルな人間として動き始めました。
そして、タイトルにもなっている「彼の瞳に幼い頃の記憶を見る場面」のスケールの大きさ。印象深さ。勢いよく頭の中に映像が流れてきて、カチリという音がはっきりと聞こえました。
「ハルジオンみたいに控えめに笑った。」
この例えがとてつもなく好きです。
春を連想させるような音の響きも、実際のハルジオンの控えめな姿もピッタリで、とても愛しいです。
多くの方にお薦めしたいのですが、感動の大きさに比べて言葉で表現するのがとても難しい作品なので、レビューをどうしようかと悩んでおります。何度も読んで味わわせて頂き理解を深めたいです(すでに二回読みましたが)
作者からの返信
松宮かさねさん
コメントありがとうございます!
身に余るお言葉をありがとうございます。
私も主人公と同様読書が苦手で、彼女の気持ちはよく解ったので、ありのまま書いた感じです。
推敲して良かったなあと改めて思いました。なぜかと言うと、「カチリ」も「ハルジオン」も、推敲して「足りない」と感じて、書き直した部分だからです。
このコメントだけでも本当に嬉しいです。
既に二回も読んでくださってありがとうございます!
編集済
タグには「ギャル」とありますが、私は読みながらBLでイメージしていました。純文学脳が弱くエンタメ好きな私としては、タグでそこに触れずに読者に性別を委ねてほしかった気もしていますが、主人公の言葉遣いとのギャップが敢えての演出なのかな? とも思ったり……。そんな風にあれこれと考えを巡らせたくなるところが既にこの作品の価値だろうなと思います。面白かった! 後ほどまた読み返してみます!
作者からの返信
生津直さん
コメントありがとうございます!
タグのギャル引っかかりましたか。うーん、考えてみます。なるほど。BLイメージもあるんですね。それは頭の中に無かったので、今後の作品に活かしたいなと思いました。
読み返していただけるなんて、本当にありがたいです。
どこの部分を切り取っても『詩』になりそうな表現ですね。素敵。
学生の頃、思春期の繊細で純粋だった気持ちを思い出しました。
みみたぶ、本当に気持ちが色に出るんですよね、男の子って。
キュンってなりました。
さらに朝日に反射した産毛の感触を確かめたいっていう所、
二人の距離がわかっていいですね。
ルビの振り方、初めて見ました。目から鱗です。
素敵な作品、ありがとうございます。
作者からの返信
星都ハナスさん
コメントありがとうございます!
あとで見てみると結構そういう表現が在って、やるな自分となります(自画自賛)
その『産毛の感触』と言う部分は、結構気に入っているので言及してくださって嬉しいです。
ルビの振り方を褒めてくださりありがとうございます。結構なんでもありだと思って使ってます(笑)
こちらこそ、足をお運びくださいまして、ありがとうございます。
また、最後までお読みくださり、ありがとうございました!