常夏のフェアリーテイル

「シスターってほんと、神さま嫌いだよね」


「うるさいですね。仕方がないです。」


手にした十字架を片手でへし折る。


「こんな裏切り者、誰が好きになりますか。」


「それ、神さまにフツーは言わないやつだよ」


「うるさいです。ほんとに。大体、夜なのに夏だから暑いからイライラしてるんですよ。」


「ふぅん?そういうもん?あ、そうだ。シスターこの前『楓 柚希』の【フェアリーテイル】の最新刊が読みたいっていってたよね。」


フェアリーテイルとは楓 柚希によるドキドキバトル恋愛漫画。

系統的にはぷり○ゅあに恋愛要素を足したものとにている。というかそのものだ。


「言いましたよ。」


シスター・・・アカネはフェアリーテイルが【ふぇあり~💟てぃるはきゅんきゅん恋あじ】という漫画投稿サイトの投稿作品時代から大好きなのだ。


「ここに、あるんだけど。」


「っ~~!!!!か、貸しっ・・・いえ、何でもないです!何でもないです!」


貸せ、といいかけるも泥棒の最たるシュゼに借りを作るなんて、物理的な借りであれど言語道断。それだけはしないとこころにちかっていた。


「んー?貸してって聴こえたんだけどぉ?」


のんびり口調で懐からその【フェアリーテイル】を覗かせる。

さらに、【フェアリーテイル💟祝💟三周年✨公式ふぁんぶっく!最新刊の裏情報、まるごとまるっと掲載!<永久保存可能💟>】という文字もみえる。


「くっううううう!!!!借りません!借りませんからね!」


そう言い張り、捨て台詞をはいた悪役の去るときのような華麗さでアカネは教会へ引き返した。

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