常夏のフェアリーテイル
「シスターってほんと、神さま嫌いだよね」
「うるさいですね。仕方がないです。」
手にした十字架を片手でへし折る。
「こんな裏切り者、誰が好きになりますか。」
「それ、神さまにフツーは言わないやつだよ」
「うるさいです。ほんとに。大体、夜なのに夏だから暑いからイライラしてるんですよ。」
「ふぅん?そういうもん?あ、そうだ。シスターこの前『楓 柚希』の【フェアリーテイル】の最新刊が読みたいっていってたよね。」
フェアリーテイルとは楓 柚希によるドキドキバトル恋愛漫画。
系統的にはぷり○ゅあに恋愛要素を足したものとにている。というかそのものだ。
「言いましたよ。」
シスター・・・アカネはフェアリーテイルが【ふぇあり~💟てぃるはきゅんきゅん恋あじ】という漫画投稿サイトの投稿作品時代から大好きなのだ。
「ここに、あるんだけど。」
「っ~~!!!!か、貸しっ・・・いえ、何でもないです!何でもないです!」
貸せ、といいかけるも泥棒の最たるシュゼに借りを作るなんて、物理的な借りであれど言語道断。それだけはしないとこころにちかっていた。
「んー?貸してって聴こえたんだけどぉ?」
のんびり口調で懐からその【フェアリーテイル】を覗かせる。
さらに、【フェアリーテイル💟祝💟三周年✨公式ふぁんぶっく!最新刊の裏情報、まるごとまるっと掲載!<永久保存可能💟>】という文字もみえる。
「くっううううう!!!!借りません!借りませんからね!」
そう言い張り、捨て台詞をはいた悪役の去るときのような華麗さでアカネは教会へ引き返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます