かぁいいシスターと泥棒さん
雪月華@33331111
「月の夜のヴィーナスミート」
「かみさま、あの人にご加護がありますよう」
少し変わった修道服を着た十五くらいの少女はそういって手を組み、祈りを捧げた。ハニーレモンの髪の毛が揺れる。
そして茜色の瞳を開き、サッと立ち上がる。
「あの人に何かあれば私はあなたの十字架なんて壊してしまいますからね。」
先程とは違う、裏切り者を見るような目線を十字架に吊るされた神に向け、彼女は去った。
彼女の名はアカネ・ルカ・マオワイト。
通称茜。
ここ、町外れの廃教会のシスター。
そして───
「あら、いらっしゃったんですか。」
彼女の目の先、佇むムーンライト。
月を思わせる白銀の髪と目。
すらりと高い背。
優雅な和服。
彼は、シュゼ・初雪・シカーシュン、通称シュゼ。
情報通の、泥棒さんである。
「シスター。そんなごみを見るような目で見ないでよ」
シュゼが言う。
「いいえ、見ていません。自意識過剰ですね。」
刺々しい言葉をアカネがはく。
「自意識過剰って・・・傷つくな・・・」
上目遣いで見てくるシュゼにアカネは
「てめぇの上目遣い何て求めてないです。」
と毒で返す。
「シスターって地味に言葉遣い悪いよね。」
「好きでシスターな訳じゃないです。」
それに、と続ける。
「わたし、あの
燐とした瞳で見据えるのは太陽か、月か、それとも居ぬ神か。
可愛らしいシスター。彼女はただのシスターではない。
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