第77話 アフターストーリー(3)
渡月橋を俺たちは渡り終わった。やっぱり着物姿の人多かったけれど、瑞波の姿はその中でもかなり目立っていた気がする。彼氏補正がなくてもだ。
「さてさて大樹くん。私はちょっとお腹が空いてきちゃいました」
「そうだなぁ。朝も早かったし、混む前に食べておくのもいいかもね」
人がたくさんいるので多分これから先はお店も混むだろう。そうなると他の行きたいところに行く時間が少なくなってしまう。
ということで歩きながらお店を探すことに。
「あ、大樹くんお団子食べたい!」
「ここのコロッケも美味しそう!」
俺たちが歩く通りには至ることろに食べ物屋さんがある。瑞波が言ったような団子屋だったりコロッケ屋だったり。どれも美味しそうだ。
「瑞波、もう食べ歩きにしようか。ちょっとずついろんなやつを食べるってことで」
「うんっそれがいいな。えへへ。ならまずはことお団子食べよう!」
「…………」
「何よ大樹くん。まさか太るぞとか思ってるんじゃないよね?」
「いや思ってないよ。ただ食べ物みるときの瑞波の感じって着物着て大人っぽくなってもいつもと変わらないなって」
俺の言葉にみるみるうちに顔を赤くする瑞波。
「ちょっと大樹くん! それ、なんか私が食いしん坊って感じじゃない! 恥ずかしいこと言わないでよ!」
俺の着物の裾を引っ張ってもう抗議の瑞波だけど別に食いしん坊だとは思っていない。美味しいものを食べてる時の瑞波の顔はとっても可愛くて良いからな。
それにしてもたくさん食べても全然体型が変わらないのはやっぱり俺の見てないところで運動とかしてるのかな。
「うーん」
「どうしたの大樹くんってキャッ!」
ちょっと二の腕触ってみようとしたけれど、着物に阻まれてできなかった。
「瑞波って俺がいないところで運動してる?」
「むーっ!」
瑞波に聞いてみるのだが、そこにはぷくーっとほっぺを膨らませた姿が。
「瑞波?」
「急に二の腕摘もうとするなんてだめ。恥ずかしいでしょ。女の子にそういうことするのはメッだから」
「でも瑞波すごいスタイルいいから」
「それでもなの! 特に二の腕とかプニプニしてるし」
してないと思うんだけどなぁ。女の子の難しいところだ。
「大樹くん。私に恥ずかしいことしたんだからその分いろいろしてもらうからね」
「うっ」
瑞波の目からはどんなことでも絶対言うこと聞いてもらうよという意思の表れを感じた。
この日思った。瑞波をプニプニするのは危険だと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます