第76話 アフターストーリー(2)
「大樹くんお待たせ」
瑞波も着付けが終わったみたいだ。俺は結構早く終わっていたので椅子に座って待っていた。
「あぁ瑞波も終わったん……」
それ以上声が出なかった。俺の目の前にいる女性に目が奪われて目が離せない。
いつも見てきた瑞波とは一味違う雰囲気を醸し出している。ピンクの花をたくさんあしらった着物は瑞波とベストマッチ。
着物による破壊力は思った数百倍だった。
「大樹くんも着物着たんだ……す、すごく似合ってるよ」
「あ、ありがとう……瑞波もすごい可愛い……いや、綺麗だよ」
なんとか思いを口に出してみる。今の瑞波は大人の女性って感じですごい美しくて綺麗だ。
「ささっ、お二人とも外で一枚記念写真を撮りましょう」
この空気を壊してくれたのは店員さんだ。良かった。このままだとずっと動けそうになかったから。
「はい、チーズ」
俺たちは渡月橋を一望できる河原で一枚撮ってもらうと店員さんは笑顔でお店に戻って行った。ここからはまた俺たち二人。
いや、二人っていつもそうだったんだど。でも今日は瑞波と付き合い始めた頃のようなドキドキ感があってやばい。
「瑞波、そろそろ行こうか。行きたいところも多いしね」
「うん」
瑞波の手をまた取って歩いていく。今の瑞波は着物で草履を履いているので歩くスピードには注意だ。ゆっくり落ち着いて。
「それにしても瑞波、すごい似合ってるよ。たくさんその姿の写真を残しとかないとな」
「大樹くんもすごいかっこよくなってる。いつもとは違うかっこよさがあって見た瞬間キュンキュンしちゃった」
ぽっぺを桜色にして瑞波がそう言ってくれる。そっか。そんなに似合ってるなら良かった。
「俺も瑞波の着物みて心臓が止まったかと思ったよ。こんな可愛くて綺麗な人が俺の彼女だって思ったらもう」
「大樹くん大袈裟って言いたいところだけど私も同じこと思っちゃった。こんな素敵た彼氏がいてくれて私嬉しいよ」
今日のこの短時間で瑞波は俺の心臓をどれだけ働かせたらいいんだ。もう心臓が五キロ走ったくらいの動きでバクバクいっている。
「私、やっぱり大樹くんのこと好き。今日のデートはそれを全面に出したいなって」
あぁ。もう立っていられないくらいに瑞波にくらくらさせられている。
「瑞波、そろそろお昼になるしご飯どこかで食べようか。ぶらぶら歩いてたら良いところあるだろうし」
自分に気合を入れて、瑞波の横を歩く。これ以上瑞波に蕩けさせられるわけにはいかない。
そう思いながら俺たちのデートは続いて行く。
こんばんは九条けいです。新作のラブコメ一話を公開しましたのでもしよろしければご覧ください。
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