第68話 みんなからの評価

 この学年末テスト以降俺に対するみんなの評価が変わった。たぶん。


 テストの結果はもう最高だった。全科目で目標の90点越え。最初の1科目まではマグレだろうっていう感じもあったけど、こうも連続で高得点を取るから一躍有名人に。


 人呼んで「やればできる空閑大樹」


 それでなんか、いろいろな人から話しかけられるようになった。バレー部の人とか、勉強ができる頭のいい人とか。微妙に女子からからが増えたのは気のせいだろうか。


 そしてしっかりとお小遣いアップにこぎつけた。お母さんは泣きながら喜んでくれたけど、少し大袈裟じゃないかなと思う。


 しかし、それはある意味今回のおまけだ。1番重要なのは瑞波との関係をハッキリみんなの前で言うこと。


 今の俺にはテストが上手くいったことしっかり覚悟が決まった。今日の放課後に瑞波にも言って明日にはみんなの前で宣言したいと思う。


 そしてお昼休み。


「ねぇねぇ空閑くん。ちょっとここの問題教えてくれないかな? テストで解けなくてちょっとモヤモヤしてるんだ」


 俺が瑞波とのことで頭をいっぱいにしている中、クラスの女子が俺に話しかけてきた。確かこの子は頭がかなり良かったはず。俺なんかに聞かなくてもわかると思うんだけど。


 しかし、示された問題は確かに俺の分かる問題だ。なら、変なことは考えず俺に出来ることをしよう。


 俺はペンを取ってその問題の解説に取り掛かった。






「むぅっ……」


 最近、大樹くんに近寄ってくる女の子が増えた気がする。いや、絶対に増えた。


 テストで高得点を取ってから学年中の大樹くんへの評価がガラッと変わったのだ。前まではみんな無関心って感じだったのに。


 あれっ? 空閑大樹って結構イケてない? そんなやりとりをしている女の子をチラホラ見てしまう。


 そりゃそうだよ。私の大樹くんは超イケててかっこいいんだから。それにすっごく優しい。


 それを知っているのは私だけだと思ってたのに……もちろん。他の女の子に渡す気なんてこれっぽっちも考えてないけど。


「ねぇねぇ瑞波。ちょっと怖い顔になっちゃってるよ」


 ここで私に話しかけてきたのは桃華ちゃん。一緒にお弁当を食べていたんだけど、先に食べ終わってからずっと私の顔を見てくる。


「そんなことないよ。ただちょっとむーってなってただけ」


「瑞波、それ嫉妬って言うんだよ。もう可愛いなぁ」


 ニコニコしながら桃華ちゃんが私の頭をくしゃくしゃしてくる。桃華ちゃんは私と大樹くんのことを知っているせいでこうしてたまにからかってくる。


 けど全然嫌な気はしなくて、私たちのことを応援してくれているのがよく分かって逆に嬉しい。


「それにしても空閑君モテモテだね。やっぱりテストがインパクトありすぎたよね。まぁ、多分もうちょっとしたらもっとすごいイベントが起きるんだろうけどさ」


 私は何も言っていないの何かを察している桃華ちゃん。私たちに期待してるって目をしてる。


「そうだね。頑張るから桃華ちゃん応援よろしく」


「任せときなさい」


 こうして女子たちでも固い絆が結ばれるのだった。


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