第65話 おはよ

「はっ!?」


 意識が覚醒した瞬間、跳ね起きた。本当に寝てしまった。


「あ、おはよう大樹くん。どう? ぐっくり寝てたね」


 そこでばっちりと瑞波と目が合う。瑞波の手には英単語帳があり、俺が寝ていた時もしっかり勉強していたことがわかる。


「俺、どれくらい寝てた?」


「ほぼ1時間だね。私もそろそろ起こそうかなと思ってたところ。大樹くんの寝顔可愛かったよ」


「今、そういうのは良いからね瑞波」


 それ以上に俺は焦っていた。1時間、今ので無為にしてしまったんだ。


 急いで俺もまた教科書を開く。瑞波はというと落ち着いた感じでまた単語帳を見ていた。


 さっきやっていた徒然草を始める。と、しばらくやっていると……


「あれ? 思った以上にスラスラ内容が入ってくる?」


 と、ここで瑞波が単語帳をパタンと閉めてニヤッと俺の方をみる。そして得意げに言ってきた。


「そうでしょ? こういう時に一回寝たら頭スッキリして効率上がってるでしょ? でも授業中はダメだよ? ぐっすり眠れてる訳じゃかいからね。あの時って。大樹くんがお昼寝してもいいのは私の膝枕の時だけってことにしよう」


「なんか一瞬でいろいろ決まったけど、そうだな。すごいリフレッシュできた気がするよ。これならまた頑張れそう」


 そしてそのまま日が暮れるまで俺たちは勉強を続けた。かなり覚えることができたのですごく有意義な瑞波との時間だった。





「お邪魔しました。瑞波、また明日。テスト頑張ろうな」


「うん。また明日ね。大樹くん無理しないでね。あんまり根詰めすぎちゃダメだから」


 日が暮れていい時間になったところで今日は解散することに。


 瑞波の言葉を忘れずに勉強しよう。そう心に誓って瑞波の家を後にした。




 そして次の日、瑞波のリフレッシュのお陰もあってか、わからないところがないくらいに良くできた。



 そのままの勢いで他の科目のテストも怒涛の勢いでこなして、この学年末テストを終えたのだった。


 あとはテスト結果が出るだけだ。


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