第61話 瑞波と
カリカリ……カリカリ……
今日も今日とて瑞波と俺の部屋で勉強中。今は化学の勉強だ。molとか言われても全然意味わからんけどそうも言っていられない。
そして化学のmolが分からないとかとは別に1つ困ったことがあった。
「なぁ瑞波。ここの問題って……」
「ぷいっ」
「あの……瑞波そろそろ休憩する?」
「ぷいっ」
これだ。何故かお昼休み以降瑞波の対応がそっけない。
俺。何かしただろうか。いや、休憩時間に悲しませた。
とはいえ今日の下校中もしっかり俺の横にいてくれたし今だって一緒にこうして勉強している。
「……」
気まずい。そして瑞波が今何を考えているのかわからないのが怖い。
でも聞かないとわからないよな。白井さんに言われたことが頭の中をぐるぐる回る。
「瑞波。俺、何かしたかな? もし俺が無自覚にでも何かしたのなら教えて欲しい」
「ふーん。あんなことしたのに分からないんだ」
「あんなことって?」
「今日のお昼休み! 亜由美ちゃんと一緒だったでしょ! それに2人、廊下でもすっごく仲良さそうだったし。もしかして大樹くん私に飽きちゃったの?」
「そんなわけない! 今日の休み時間に瑞波がすごい悲しそうな顔してたから……ちょっと白井さんに相談してたんだ。何故か白井さんは信頼出来るというか」
「まぁ亜由美ちゃんは信頼出来る人だとは思うけど」
ここで1つ思った。瑞波と白井さんって仲良いの? 瑞波の感じが結構親しい感じを出している。
「瑞波と白井さんって知り合いなの?」
「えっ? 大樹くん知らないの? 亜由美ちゃん中学校の時ソフトボールしてたんだよ?」
「白井さんが!? 初めて知ったんだけど!」
あの冷徹で熱血系のスポーツなんて興味ないと言わんばかりの白井さんが。ソフトボールってかなり熱血系だから意外すぎる。
「すっごくコントロールのいいピッチャーだったんだよ。それにチームのみんなとも仲良くやってだんだよ。私、ちゃんとみたんだから」
「瑞波と白井さんに接点ってあったっけ? 中学違うし、小学校?」
「ううん。中学の練習試合だよ。大樹くんその頃練習に打ち込んでてそういうの知らなかったでしょ」
「まぁね。その頃から瑞波しか見てなかった」
試合に出れなくても対戦相手はしっかり見てた。ただ女子とは対戦することはなかったからなぁ。
女子の試合応援する時は瑞波しか見てなかった気がする。瑞波が打てば嬉しかったし、打てなかったらショックだった。
「瑞波、一生懸命でかっこよかったし可愛かった」
「んもう。そういうのは今いいから。えへへ。嬉しいけどさ」
そうだった。思い出に浸るところじゃなかった。瑞波にちゃんと覚悟を伝えないといけない。
「瑞波……聞いて欲しい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます