第43話 まさかの風邪

「ごぼっごほっ……」


 シーンとした部屋の中、俺は1人ベッドの上で寝ていた。いや、ただ横になっていると言った方が適切か。


 今はお昼を少し過ぎたくらいだろうか。キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴ったのでもう午後の授業が始まったらしい。


 じゃあなんでお前はベッドの上で横になってるのか。そう疑問に思うのは当然だと思う。


 でももうお気付きだろう。ただ今俺は風邪をひいて保健室にいるのだ。


 熱も38.1度あり養護教諭の先生から早退を命じられてしまった。


 瑞波がかなりガチな感じで保健室に行けって言うから行って熱を測ってみたらこんなにあるとは思ってもみなかった。


 ただこれ以上教室に居るとみんなに移してしまう可能性もあったからよかったのかもしれない。


「俺の皆勤賞〜」


 ただ俺の皆勤賞は1年と経たずに消滅した。もちろん他人に移してまで獲得するものじゃないけど。


「はいはい。もうそれは諦めて。空閑くんのお母さんとは連絡ついたから。ちょっと遅れるけど1時間くらいしたら迎えにくるって。今インフルエンザ流行ってるから病院行って検査もして来てね」


「はい、分かりました。でもインフルエンザの検査、あれ鼻の奥グリグリされてすごい嫌なんですよね」


 鼻の奥の粘膜から検体を採取するらしいんだけどあれ反射的に涙出ちゃうんだよ。痛いからとかじゃないんだけど無意識に出て来ちゃうみたいな。微妙に痛いし。


 それみて何故か風邪をひかないお母さんが「まだ涙出ちゃうのね〜」とか冗談交じりに言ってくるからすごくいや。


 でも家に戻るとめっちゃ心配してくれるからいいんだけどさ。


「それは分かるかも。ってあんまり喋ってないでお母さんが来るまで寝てなって。一応空閑くんは病人なんだから」


「一応ってなんですか一応って」


 38.1度もある立派な病人ですよ。俺はそんな実感なかったけど。


「空閑くんしっかり部活で鍛えてるせいかそんなに辛そうに見えないんだよね。いや、分かってるよ? 大変なのは分かってる。ただけろっとしてるからさ」


「そうなんですよね。俺も瑞波……友達に言われるまで今日くらいは耐えれるかなとか思ってましたし」


 流石に部活はお休みしようとは思ってたけど授業は受けられると思ってだんだけどって先生が変な目で見てるぞ。


「先生どうかしました? まさか先生も実は風邪だとか?」


「いや。空閑くんさっき無意識に瑞波って言って言い直してたけどまさかそう言うことかな?」


 あー。ここに悪い人がいるよ。人のミスに突っ込む悪い人が。校長先生どうにかしてくれませんか。


 ちなみになんでこんなに先生と喋れてるかって言うと俺が1.2学期の保健委員だったから。仕事しに保健室よく行ってから先生とも気軽に話すことができるようになったって感じだ。


「どうなの空閑くん。ここまで言っちゃったんだからもう最後まで言おうよ」


「俺は全然言ってないですけどね! って俺は熱があるので寝ます!」


「ちぇー。でも今度来たときに教えてね」


「教えませんから! では寝ます!」


 そう言ってガバッと布団をかぶってお母さんが来るのを待った。









 今回は瑞波全然出てませんけどこれからまた登場します! 夏風邪引いてしまった私が言えませんが皆さんお腹出して寝ないようにしてください!

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