学校生活

第35話 学校では…

「行ってきま~す。弁当ありがと~」


「はいはい。行ってらっしゃい。頑張ってね」


 俺は元気に家を飛び出した。いつもなら死んだ顔をして家を出ることだろう。


 だって今日は冬休みが終わって最初の登校。多分全国の学生の8割くらいは連休明けの学校を億劫に感じてると思う。


 俺もそうだった。いつもなら前日からため息つきまくりだっただろうけど今の俺は違う。


 理由は単純。


「おはよう瑞…和泉」


「うん。おはよう大樹くん」


 学校には瑞波がいるからである。とはいってもここは学校。1の4の教室内。男女が仲良く喋ってたらそれだけで注目の的になってしまうがそこは問題なし。


「それで捻挫したところは大丈夫?」


「うん。全然問題ないよ。心配かけてごめんね」


 そう、お互いの共通の話題を喋れば何の心配もない。俺と瑞波がソフトボール部の選手とマネージャーであることは周囲も知っているのでこうして話していてもおかしいことは無いってことだ。


「いや、大事じゃないなら良かったよ。無理はしなくていいからね。あ、もう時間だから席に戻るよ」


「そうだね。私も準備しないと。今日も部活あるから忘れないでね」


 了解と返事して俺は席に戻ったのだが…


「はいおはよう空閑く~ん。それでちょっといいかなぁ?」


「ぐぇっ!」


 席に座った瞬間に背後からヘッドロック。思いっきり決まってしまって変な声が漏れてしまう。そしてそんなことをする奴は…


「ちょ…ちょっとやめて貰っていいか…首が絞まってやばい…」


「仕方ないさ。俺にこうされるのは運命なんだから」


 俺を殺そうとした犯人は修たちではなく、クラスメイトの隼人はやとだった。いつもはこんな殺人未遂なんてことしないのに何があったんだよ。


 と息を整えながら後ろを向くとそこにはわなわなと肩を震わせる隼人の姿が。


「おいおい本当にどうしたんだ? 変な奴だとは思っていたけどここまでじゃないだろ?」


「いつもだったらその発言ぶっ飛ばすけど今はまぁいいわ。そんなことよりだよ! さっきのはなんだよ! 和泉さんとすごい仲良くしやがって! あんな感じの笑顔は初めて見たぞ。まさかこの冬休みにお前らなにかあったとかないよな?」


 隼人のやばいほどの圧を感じる。ん…? まさか隼人って瑞波のこと好きだったり? ちょっと不安になって来た。


「あのさ、隼人って和泉のこと好きとかじゃないよな?」


「俺の質問無視すんなし。まぁ和泉さんってめっちゃ可愛いよな。でも俺は亜由美あゆみちゃん一筋だから。で、どうなんだよ」


「あぁ隣のクラスの白井さんか。すごい人気だしな。噂では彼氏いるとかどうとか」


「なにぃ!? おい空閑それは本当か!?」


 グワングワンと肩をゆすられる。っていうかこいつ白井さんのこと好きだったのか。安心。安心。


「噂だからそこまで知らないって。ただ早くしないとワンチャン手遅れになるかもな」


「ぐわぁ~それなら玉砕覚悟でいくしかないか。確かにぐずぐずしてるとまずいな。よし。ちょっと頑張ろ」


 と隼人が意気込んでいる途中でチャイムが鳴ってみんなが席に着いた。良かった良かった。なんとか知られることはなかった。





 そんなこんなで1日が過ぎた…


「今日はきつかった! すぐ近くに瑞波が居るのに何にも出来ないって。こんなに辛いものとは思ってなかった」


「そうだね。私もずっとこうしてくっついてたかったのに」


 朝学校に行くまでは期待に胸膨らませていたのにいざ学校に行くと瑞波と会話できたのは朝のあれだけ。


 俺には俺でいつも喋る人もいるし、瑞波にも休み時間を一緒に過ごす友達がいる。となると瑞波と話す機会なんて滅多になく会話ゼロで1日が終わってしまった。


「でもさ、ここまでする必要ある?」


「あるに決まってるじゃん! 今日ずっと大樹くんと何も出来なくて私は今ね欲求不満なの!」


「そうですか…」


 今俺たちはまた瑞波の部屋に来ていた。捻挫しているので送り届ける係(部公認)でしっかり送り届けた後、そのまま帰ろうと思ったら瑞波に家の中に引っ張られたって訳だ。


 今日は始業式と大掃除とホームルームしかなく午前中で学校が終わり部活も2時間くらいで終わったのでまだ4時前。


 瑞波のお父さんが帰って来るまで後1時間くらい。お母さんは何故か家を留守にしていて前回みたいに家に2人きり。そう、何故か瑞波のお母さんが留守だったんだ。


「というわけで今日は大樹くんの方からキスして。今日何回も大樹くんと目が合ったと思ったらすぐ逸らすんだもん」


「仕方ないだろ! あのまま見つめてたら絶対やばいことなってたから仕方なかったんだ。っていうか瑞波俺の方見過ぎだぞ。もしかしたら気づかれたかも知れないぞ」


「もう大樹くんちょっとうるさい。そんなこと言っちゃう口はこうして塞がないと…ん…」






 ===


 読んで頂きありがとうございます! 投稿が遅れて申し訳ありません。誠に勝手ですが投稿する日を決めさせて頂きたいと思います。


 基本的に火曜日、金曜日、土曜日か日曜日の週3回の投稿を目指していきます。大学生活やバイトの兼ね合いで執筆する時間が取れないことが原因です。出来るだけ頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。


 謝辞。皆様の応援のお陰で★が270を超えフォロワー様も700名を超えました! この作品は今年の冬にあるカクヨムコンテスト応募を考えてる作品です。たくさんの評価がとても大きな力になります。皆さまありがとうございます!


 これからもこの作品をよろしくお願いします!


               九条 けい

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