第30話 勘違い
「ごめんなさい大樹くん。私、寝ぼけてました」
「いや、問題ないからいいんだよ。だから顔上げて。それにさっきの瑞波可愛かったし」
「えっ!? なんて言ったの大樹くん!」
「なんでもない。なんでもない」
瑞波はベッドの上でまさかの土下座をしていた。さっきの醜態? に対する謝罪らしい。俺は全然問題なかったのに瑞波が勝手にこうしたのだ。
もちろんすぐにやめて貰ったけど。ただ、瑞波はさっきの寝ぼけていていろいろしていたのが恥ずかしかったらしい。全然気にしてないのに。
「それで私が寝ぼけていろいろしてしまったんだよね。アバウトに何したか覚えてるの」
「まぁいろいろされたね」
ぎゅーってされたりキスされたり。思い出したらにやけてしまいそうだ。あの時の瑞波幼い感じがしてすごい良かった。
「それでねそれでね。私、大樹くんにキスしちゃったけど感触とか全然覚えてないの。したっていうとこは分かってるんだけど。だからさ」
「だから?」
なにをしたいのかは分からないけど、瑞波小悪魔っぽい笑みを見るとなんだかやばそうな感じがする。
「私にキスして!」
「さっきしたよね!?」
「寝ぼけてた時はノーカンだよ。だからさ、ん~」
両手を広げてキスを待つ瑞波だが俺は直ぐには動くことが出来なかった。今日これ以上すると俺の心臓が持たない。幸せゲージがもうマックスなのです。
「は~や~くぅ~」
「ちょっと待とうか瑞波。俺の心臓がもたなくなってしまう」
「なんでよ~いいじゃん! さっきのはノーカンだし!」
「俺にはさっきのもきっちり記憶してあるの! 瑞波結構あの時強引だったんだからな! もうこれ以上は今日はしませーん」
「ダ~メ! ほ~ら! 私はしたくてしたくて仕方ないの」
「もし、俺が幸せ過ぎショックで倒れたら面倒見てくれよ」
「その時は付きっ切りで看病してあげる。それじゃあ大樹くんから許可が出たところで…んっ…ちゅっ…」
可愛くおねだりする瑞波に俺は甘いのかな。もう幸せ過ぎて死ぬかも。死因は幸せ過多と心臓へのドキドキによる負担増量ですね。
静かな部屋に俺と瑞波の口づけの音だけがこだまする。他の音は何も聞こえてこない。
と、ここで…
「ただいま〜! 瑞波帰ってきてるの?」
「「!!!???」」
キスしてる途中にまさかの多分瑞波のお母さんが帰ってきた。瑞波が急に焦り出す。
「あわわわわっ。お母さん帰って来ちゃった! どうしようどうしよう! 見つかっちゃったら…」
慌て出したのは良いのだけどかなり不安げな瑞波。見つかっちゃったらとか言っていたけどもしかして、お母さん厳しいとか恋愛はダメ! とか言うタイプなのかな。
もしそうならどうするのが良いのだろう。誠意を見せる? 別れるのは絶対にないので認めてもらえるように頑張らないと。今すぐには無理でも。
「あのさ瑞波。お母さんって厳しいのか? やっぱり色恋禁止! とか?」
敵? の情報は出来るだけ多い方がいい。
「え? どう言うこと?」
「だからさ俺たちのこと認めてもらいたいから。俺がどれだけ瑞波のこと好きか知ってもらわないと。絶対別れたくないし」
「あ、あの〜大樹くん? 私のお母さんそう言うタイプじゃあないよ?」
「え…でもお母さんが帰ってきて見つかっちゃったらとか言ってただろ? それで気合い入れてとか思ったんだけど…」
あはは〜とほっぺたをポリポリ掻く瑞波だけどまさか俺は早まった行動をしてしまったということでは…?
「お母さんどっちかって言うとすごい恋バナ大好きで。それにちょっと私が…」
「私が?」
何か別なことがあったんだろうな。でも俺が思っていた感じとは違うっぽい。良かった良かった。
「瑞波〜! この靴はあなたのじゃないわよね〜。誰か来てるの?」
「なんでお母さんそんなに鋭いの!? っていうかまだ帰ってこないと思ってたのに!」
トントントンと階段を上がってきてる音がする。さてさてどうしたらいいんだろう。
こんにちは。九条けいです。このお話でついに30話をです! 皆さま読んでくださってありがとうございます! 皆さまのたくさんの応援がとても力になっております。★や感想まで頂けて感謝しかありません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします!
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