第22話 おみくじ

「おみくじ、おみくじふんふふーん」


「やけにテンション高いな」


「だって楽しみなんだも~ん」


 ぎゅってし終わって俺たちは御神籤とかお守りとか売ってる所にやって来た。


 交通安全とか必勝祈願とかある中で選んだものは恋愛成就。桃色の可愛らしいのを2人でお揃いで買った。


 そして御神籤のあるところまでやって来た。一回100円。恋御籤とかではなくて普通の御神籤だ。


「よし! 私はこれ!」


「じゃあ俺はこれにしよう」


 箱の中から一つ選ぶ。さてさてなんて書いてあるかな?


 糊付けされたところをゆっくり剝していろいろ書いてあるありがたい言葉をすっ飛ばして大吉かどうか確認する。


 瑞波の方を見ると……あ、これは大吉だな。あれだけ嬉しそうな顔してるからそうだろう。ほんと分かりやすいな。


「やった! 大吉だよ! これは一年間良いことあるよね」


 ぴょんぴょん跳ねて喜ぶ瑞波。そんなに嬉しかったんだ。俺はなんて書いてあるだろう。


「あ……」


 嘘だろ……そんなことあるのかよ……


「どうしたの?」


「凶だったんだけど……。俺今年最悪かも知れない」


 日頃神様とか考えないのにこういうのってめっちゃ気にしてしまうんだよな。


「本当にろくなこと書いてない」


 失せ物は出ず、学問も上手くいかず、他にもいろいろとテンションが下がりまくることのオンパレード。神様、俺が何をしたというのですか……。


 そして一番俺が気にしていた恋愛。恋人と別れるとかそういう類のものは当たり前だが書いてはいない。でも、「自身に問題あり」ってどういう事だ。


 ってそういうことか。俺の都合で瑞波と付き合っていることは秘密にしてる。今だって瑞波に気を使わせているのかも知れない。瑞波は直接口にはしないだろうけど。


「自身に問題あり」これはなかなかに今の俺のことをジャストに示している。本当に神様いるんじゃないか?


「大樹くん残念だったね。でも心配ないよ。書いてあることが良くないことだったら自分で道を切り開くの!」


「そうだよな! こういうのは気にしたらダメだよな」


 おみくじはしっかり結んで後は瑞波が言っていたように屋台を見て帰ろう。お汁粉飲みたいな。


「御守り買って帰ろ? お揃いの恋愛成就のやつ!」


 売店の巫女さんに1000円渡してお揃いのピンク色の御守りを買った。こういうのって学校のカバンとかに付けずに家に置いておくのが普通だよね? 瑞波は早速今背負ってるカバンに付けようとしてるけど。


「よーし、色々食ベるぞ!」


 元気のいい瑞波に連れられ俺たちは屋台のある方へと向かって行く。


 お汁粉だけじゃなくてお雑煮に焼きそばにクレープとかまであってかなりのバリエーション。焼きそばの店とかからは良い匂いがして食欲をそそられてしまう。


 何故か屋台とかの焼きそばって美味しいんだよね。家で作ったのが美味しくない訳ではないけど、やっぱりあの火力が焼必要なんだと思う。


「これ一つください」


「じゃあ私はこれ」


 俺は匂いに負けて焼きそば。瑞波はクレープ。瑞波がクレープ持ってるだけでなんかインスタ映えしそう。


 ベンチに座って焼きそばを食べる。うん。めっちゃ美味しい。決め手はソースだ。市販のやつなのになんか別物の勧進する。


 判定。星3つ! ただこの量で500円ってちょっと高い。


「大樹くんなんだか浮かない顔してるけどになってるけどどうしたの?」


 クレープを食べている瑞波が心配そうに俺の顔を除いてくる。


「もしかしなくてもさっきのおみくじのこと気にしてるでしょ。それも恋愛のところ」


 ドンピシャだった。瑞波がいろいろ言ってくれたけど未だに心のもやが晴れくれない。


 いつか先、本当に俺のせいで別れるようなことがあったら? 夢心地だったのが一気に現実に戻された気がした。


「ほんと仕方ないなぁ大樹くんは。ちょっとこっち来て」


 そういうと瑞波はぱくぱくっと素早くクレープを食べると俺の手を引いて人気の少ない方へ歩き出した。





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