第13話 一章エピローグ お互いを通じて〈side瑞波〉
今、私は人生で一番嬉しい出来事に浸っていた。それはそう大樹くんが私に好きと言ってくれたから。
本当に嬉しかった。大樹くんが昨日私の告白を断った理由も分かったし、それでも私に好きと言ってくれたことにこれ以上ないほどの幸せを感じる。
そして私をぎゅっと抱きしめてくれた時の温もり。心の底から嬉しかった。筋肉質でしっかりした身体なのに私を抱きしめてくれた時の力は優しく私を包み込んでくれるようだった。
「それじゃあそろそろ帰ろうか。あんまり遅くなってもダメだろうからさ」
「えっ……?」
もう帰っちゃうの? 私はもっと大樹くんと一緒にいたいよ。このドキドキをもっと共有したい。
「ほんとは帰りたくないんだけどね」
ほんの少しだけ寂しそうにそう言う大樹くん。大樹くんもそう思ってくれてるんだ。
「うん……私も帰りたくない……もっと大樹くんと一緒に居たい」
「瑞波……」
分かってる。大樹くんの家にも決まりがあって帰らないといけないってことも。私がこういうことを言うと大樹くんが困ってしまうってことも。
それでももう抑え切れないよ。私、わがままになっちゃってる。これじゃあ直ぐに嫌われちゃう。
「それじゃあこうやって手を繋ごう。このまま駅までさ」
スッと差し出された大樹くんの右手。私はその手をぎゅっと掴む。前に私が告白したとき私の手は冷たいままだった。でも、今はとっても温かい。
手はお互い冷え切ってるはずなのにどうしてか繋いだ手はとても温かく感じる。素振りで出来たのか手には肉刺があって大樹くんの努力を物語ってる。
「ふふふ。嬉しいなぁ。私、大樹くんとこうするの夢だったの」
そう言うと照れたように顔を背ける大樹くん。私もちょっと恥ずかしいこと言っちゃった。
「俺だってこうしたかった……」
「はぅっ」
何これ! もう大樹くん大好きっ! こうして繋いでる手の温度が上がったのも分かる。私の体温も上がってる思う。今検温したら風邪レベルだよ。
「それじゃあ帰ろうか」
「うんっ!」
こうして私は最高なクリスマスを過ごした。これからの大樹くんとの生活もすごく楽しみだな。
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