第10話 お食事

「お待たせいたしました。こちらペスカトーレでございます。そしてこちらが小エビとホタテのクリームパスタです」


 ついにきたメインディッシュ。俺がペスカトーレで和泉がクリームパスタ。ここはメインのパスタが絶品だと和泉が太鼓判を押していたのでとても楽しみだ。というかどっちとも魚介なんだな。


「それじゃあ食べよっか。大樹くん食べたらびっくりするよ」


 早速一口食べてみる。


「ほんとだ。これすごい美味しい!」


 少しピリッと感があるソースはトマトの酸味とかとかなりマッチしている。魚介の美味しさもしっかりついていて噛み応えもしっかりあってトマトソースがパスタによく絡んでる。


「そうでしょ! ほんとに美味しいんだから」


 ふふんって感じで得意そうにする和泉。その食べっぷりは見ているこっちも気持ちよくなるくらいだ。


 その後もペスカトーレを堪能する俺。美味し過ぎて箸……じゃなくてフォークが止まらない。


「ふぅ。美味しかった。これは和泉が絶賛するだけはある」


 あっという間に食べ終わった俺たちは最後のデザートを待つだけになった。パスタでお腹いっぱいになってしまったけど、デザート入るかな?


「あれ、よく見ると大樹くんちょっと口の横にトマトソースが付いてるよ」


「えっ?」


 しまった。やってしまったぞ。こんな恥ずかしくて情けない姿を和泉の前で見せてしまうなんて。急いでティッシュペーパーで口元を拭く。


「ん~まだ付いてるかな。ちょっと貸してみて……ここだよ。オッケーこれで大丈夫」


 そう言って和泉が腰を浮かせてグイっと俺の方へ顔を近づけ拭いてくれた。拭きとれたのを確認したらニコッと笑顔に。その笑顔で俺の心臓がドクンと跳ねる。


 よく考えたら他の人にこうされるってなんだか俺が年下みたいだな。とか思ったのは一瞬で今の状況はそんなことを考えてる暇はないことを感じた。


 こんな近くに和泉の可愛らしい顔がある。綺麗な透き通った瞳。整った顔立ちにぷっくりしていて口紅をしているのか紅色に光っている。


 見惚れていると和泉と目線が合う。


 その瞬間ボフッと音が鳴るように和泉の顔が真っ赤になった。さっき俺が食べたペスカトーレのように。って表現が下手くそだな。


「ご、ごめんね! 変なことしちゃった!」


 マッハで自分の席に座り直した和泉。すごいモジモジしてる。


 それ以降俺たちは大した会話もできずデザートを食べお店を後にした。もはや味なんて分からなかった。


 店を出たらもう時間は7時になろうとしてる。和泉はもう帰ろうかとか言ってるけど、それはだめだ。俺には言わなければならないことがある。


「なあ和泉。せっかくこっちまで来たんだしもうちょっといろいろ見て行かない? 門限とかあるなら仕方ないんだけど」


「大丈夫だよ。どこいこっか? 大樹くんどこか行きたいところある?」


「それじゃなこっちの方行こう」


 そう言って歩きだすと横をしっかりついて来てくれる。目的の場所はもう決めている。植物園でイルミネーションのトンネルが有名なところ。


 そこで俺は和泉に自分の気持ちを伝えるつもりだ。








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