第7話 お出かけ

 夕方4時になる30分くらい前。俺は和泉とのお出掛けのためにいろいろ準備していた。


 とは言ってもそんなに俺が出来ることは無い。身だしなみを整えて俺が持ってる中で一番おしゃれな服を着る。


「よし。これでいいか」


 基本おしゃれとか全く気にしない俺だけど、和泉と会うのにいつも修とかと遊ぶ服装で行けるわけがない。あいつらもおしゃれとか全く興味ないタイプだし。


「あれ大樹もう行くの? そんな滅多に着ない服着て。なになに? まさかデートなの? このこのぉ。なんだかんだで大樹も恋愛とかしてるのね。お母さん大樹に女の子とかの話聞かないから心配してたのよ。まあ杞憂だったみたいね」


 こうしてウザがらみをしてくるのは俺の母さん。今日は友達とご飯食べてくるとだけ言ったのに何かを察したらしい。


「どうでもいいだろ母さん。とにかく行ってくるから」


「はいはい。夜は遅くなってもいいからね。朝帰りもオッケーよ」


 グッとサムズアップする母さん。何を言っているんだこの親は。息子に言うべき発言じゃないだろ。


 とにかく出発するとしよう。待ち合わせ時間まであと25分。駅までは歩いて10分くらいなのでいい時間だろう。早めについていおて損はない。絶対に和泉を待たせるなんてことはできないし。


「ちょっと待って。はいこれ」


 一旦リビングに戻っていた母さんが何か持ってやって来た。


「お金と、マフラー。持ってるとは思うけど、足りなくなったら使って。それとネックウォーマーはデートじゃなしよ。機能性は高いんだけどね」


 確かにそこは考えてなかった。ネックウォーマーで行く気満々だった。


「ありがとう。じゃあ行ってくる」


「はい、いってらっしゃい」


 こうして俺は家を後にした。


 駅までの道のりはそんなに長くない。ただ緊張とか楽しみだとかでいつも以上に早くついてしまった。


 駅の時計塔について周りを見渡すとまだ和泉は来ていないようだ。さすがクリスマスというのかクリスマスソングも聞こえてくるし、やっぱりカップル率は高い。


「あの。大樹くん?」


「あぁ、和泉きたん……」


 振り返った瞬間俺は続きの言葉を発することが出来なかった。いつも見ている和泉も可愛いのだか私服姿はまたとてつもない破壊力があったから。


 いつもポニーテールにしてる髪を下ろしてチェックロングコートにニットセットアップを着こなす和泉は控えめに言っても天使のように可愛い。


 急激に体温が上がっていく感じがする。心臓もバクバクうるさい。今が冬だということを忘れさせられるくらいに身体が熱くなっていった。


 でも、和泉の寒さでほんのり赤くなったほっぺたを見ると冬だということを実感できる。


「お待たせ。待った?」


「い、いいや。俺も今来たところ」


 やばい。和泉を直視出来ない。これは反則だろ。可愛すぎる。


「それじゃあいこっか」


「そ、そうだな」


 それでも俺はなんとか冷静を装って和泉とのお出掛けをスタートさせた。




 

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