第4話 これからどうなるの?
「それでほんとイチャイチャカップルばっかりでささ。その中にはうちの学校の制服もあってよ。これはもう殴り合いって感じだよ」
「ほんとお前ガチで行こうとしてたもんな。恥ずかしいから俺が止めたけどさあ」
マイク越しに聞こえてくる男の声。同じソフトボール部のメンバーで、物騒なことを言っているのが
そしてその修を止めたというファインプレーをしたのが我らが一年生の中で俺と同じレギュラーの
2人は中学では別々のチームで結構活躍している選手だった。特に純也はかなり上手かった。敵ながらあっぱれって感じだな。
「本当にクリスマスってなんなんだよ。キリストの誕生日とか日本には関係ないじゃないか」
「それを言ったら終わりですよ修さん。そんなの世界中の非リアが思っているんだから」
「それもそうだけどさ。あーもう! リア充爆発しろ!」
俺は今、自室のベッドの上で2人と通話しながら3人でオンラインゲームをしていた。クリスマスにこうしてゲームをしているユーザーは俺たちと同類なんだろうか。
もし、和泉の告白を受け入れていたら今頃俺はここでこうしてゲームをしていたのかな。それともちょっとどこかでご飯を食べにでも行ったのかな。
そんな「もし」という考えが俺の頭の中をグルグルと駆け巡る。自分で手放してしまったものに今更手を伸ばそうと届くはずもないのに。
ただ、和泉の最後に言っていたことが気になる。
「分かった! 私のこと恋愛対象として見てなかったってことでしょ! それなら仕方ないね。そうとなったらたくさんアピールして私のこと大好きにさせちゃうからね! だから覚悟しててよね!」
言われた言葉は覚えている。一言一句忘れてない。ただ意味がちょっと分からないというか、何というか。
言葉の意味通りに考えればこれから和泉が接触してくるとか? アピールって言っても何をされるのか、恋愛経験の少ない俺には分からない。
ただ、俺はそれに耐えきれるだろうか。好きな女の子に今以上に関わられて俺の精神が持つかどうか。
「ってあー!」
そうこう考えているうちに俺のキャラがやられてしまったみたいだ。スマホの画面には「戦闘不能」の文字が。
「おいおい大樹こんなところでやられるなんてらしくないぞ」
「まあ気にしないで。報酬は俺と修で山分けしとくからさ」
このクエストの報酬は激レアで2人で山分けなんてされたら俺は大損もいいところ。速攻でそんなことするなと言おうとしたのだが、俺は出来なかった。
なぜならスマホのバナーに和泉からの通知が表示されていたからだ。そしてそのメッセージはこうだった。
「明日、どこか一緒に出掛けませんか?」
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