第51話 モーニングコーヒー
今すぐの返事という言葉で、彼は少し緊張しているように感じた。が、私は構わず言う。
「りゅーじさん。私、あなただけのひかりにはなれません。でも、みんなの光になりたいです!」
思いのままに口をついて出た言葉だった。本当は、あなただけのひかりになります、と言うつもりだったのに。
「ひかり……って、呼んでも、いいかな?」彼は真剣な声を出す。
「いいですよ。じゃ、私もりゅーじって呼びますね」私は舌を出す。
***
24日を迎える直前からカップル配信を始めた。
「僕たちは正式にお付き合いすることになりました。今夜はカップル配信です。月曜日だから、誰も来ないかもしれないけどね」
「りゅーじ、りゅーじ。いま、閲覧何人なの?」
「ん? 1人だよ」
『さくらさん:ひかり、網谷さん。おめでとうございます。ずっと応援しています』
***
朝。慣れないベッドで身体を起こす。コーヒーの香りが鼻孔をくすぐる。
「りゅーじ?」私はどこにいるのかわからない彼に声をかける。
「ん? コーヒー、嫌い?」彼は優しい声で言う。
「実はあんまり得意じゃないの……」本音、言っちゃった。
「そっか、じゃあ紅茶淹れようか?」
「いいの。りゅーじと初めて迎えた朝のコーヒーの味、忘れたくないから」
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