第66話

 目が覚めた。

 暖かな日に包まれた朝を迎えることができた。

 目の前にはナビがいて日と人の温かさから目を覚ました。

「な、なんで? なんでなんで?」

「あ、おはようございます」

「おはよう。じゃなくて」

 目を覚ますと目の前にナビが居るのは別に変わったことではない。

 大抵いつもそうだった。

 しかし、

「何してるの?」

「別に何もしてませんよ。勇気さんの心がいつまでもうるさいので」

 照れくさそうにそっぽを向いてナビは言った。

 僕は結局ろくに眠ることはできなかった。

 考えては気づいて辞め、考えては気づいて辞めをずっと繰り返していた。

 いつの間にか眠っていたが、ナビが居た記憶なんてない。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

 なんとも言えない空気に包まれた一日のスタートだった。

 だが、僕は昨日を超えて今日にたどり着いた。

「もう大丈夫ですよ」

「うん」

 僕は相変わらずナビに支えられっぱなしだなとそう思った。

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