第39話
目が覚めるとそこはいつもの日常ではなかった。
しかし、知らない場所でもなかった。
「目覚めたね」
「ラ・マさん。僕はどうして」
「その説明は俺がしなきゃだめかな?」
「私がします」
「ナビ?」
声の聞こえた方へと体を向けようとするも体に力が入らない。起き上がることすらできない。
「起きなくていいですよ。私はここです」
ナビが視界の右側、ラ・マさんの反対側から顔を出した。
「ナビ」
「はい」
「話してくれる?」
「はい」
ナビは僕の身に何が起こったのかを話してくれた。
僕は優美ちゃんをさらった小さな集団を壊滅させた後に山村のところまで戻ることができた。
しかし、そこで力尽き、気絶した。
ナビはそれを山村と優美ちゃんから聞いたという。
そこから、三日三晩寝続け今目覚めた。
というところまではスラスラと話してくれた。
しかし、
「その、ここから先は」
「話してくれない?」
「いえ、あの、なんていうか」
「話しづらい?」
「そういう訳では……」
と言葉を濁してなかなか話しだそうとしてくれない。
「わかった。ここからは、俺が話そう」
「おねがいします」
話し手がバトンタッチしてからはスラスラと進んだ。
僕はルールを破ったこと。
1つ目は人に見られている状態での変身。自分では見られていないように思っていた。いや、そんな事考えていなかったがアウトだった。
2つ目に石の破壊。僕が壊したわけではないが石が壊れたことは現実に起きたことだ。
そのことで、ルール違反の罰を与えられたらしい。そのうち気づくとのことだが、体の感覚がないため確かめようがない。
そして、
「君は有名になりすぎた」
「はい?」
「君がクマ人間とばれたことで世間は大騒ぎだ」
「そんなバカな」
「いえ、本当なんです」
すると、目の前に、新聞、テレビの映像などなどの色々な情報が映し出された。
「これは?」
「これが、君についての報道だ」
そこには、クマ人間の正体発覚やクマ人間反社会的勢力と関係? など、本当も嘘も混じった情報が出ていた。
中でもやはり、
「僕の写真が」
「そうだ」
「家にも人がいっぱいで」
「……」
僕は絶句した。
ここまで注目された存在になっているとは思っていなかった。
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