第36話
先に居たのは入り口の空間に居た奴らとは違い体つきががっちりしていて数が明らかに多かった。
「ったく、アイツらは本当に使えないな」
「仕方ないっすよ。新入りなんてそんなもんす」
「そうか、おい。やるぞ」
僕に気づくと臨戦態勢を整え始めたチンピラの上役はしかし、構えからなっていなかった。
ただ、数に物を言わせて勝負をしてきたもののそれだった。
これでは自分が弱者ですと言っているようなものだ。
集団は個人のレベルも高まっていくからこその成長なのだ。
そんな自分の思考を知らないであろう集団は僕を円形に取り囲み、
「かかれ!」
集団の中のボス的存在の一声で接近を開始した。
しかし、それでも、僕の相手ではなかった。
片端から切り倒し、勝負は一瞬で決着した。
入口近くであることに変わりのない第二の空間でも調査をしても無意味と判断しただ、生かさず殺さず切り倒した。
そのまま、第二の空間を後にしたが、第三、第四と人の気配のない空間が続いた。
一応、人の入れそうな場所は確認したが誰も居なかった。
そのまま進んだ先にあった。最後と思しき行き止まりの空間までほぼノンストップでたどり着いた。
「消えた?」
少女を押し込んだ黒服も組織のボスもここには居ない?
やはり、あからさますぎたのだ。安直すぎたのだ。
とめどない自責の念の中で一筋の光を探してただ、空間の中を歩き回った。
ものを倒し、壊し、動かしても何も出てこない。
「クソッ」
感情に任せ変身状態で殴りつけた行き止まりのはずの壁は穴が空き、外とはまた別の空間が現れた。
「見つけた」
逸る気持ちを押さえつけられず自分の思考も追いつかないスピードで、新たな空間へと走った。
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