第24話
僕の評判が落ちることとは関係なくクマ人間の評価は変わらなかった。
むしろ良くなっているとも言えるかもしれない。
クマ人間、鬼神の如き活躍。と何かで取り上げられていることもあった。
ナビには、
「無理はしないでください」
と心配されてばかりだがそうは言っていられない。
ただ、鬼神の如きと称されても見た目に変化があったわけではない。
活動量や活動範囲を少女との別れの悲しみを紛らわすかのように増やしているだけだ。
だから、角が生えたり毛が赤く染まったりした訳ではない。
何なら、奇人の如き活躍の間違えだったかもしれない。
どちらにせよそのへんの認識が疲れで間違ってしまうほどだからこそ、今自分はナビに久しぶりに監視され強制的に休養させられているのだ。
「あれだけ無理はしないでって言ったのに」
そう独り言を言うナビに、
「大丈夫だよ!」
と起き上がり笑いかける気力さえ今の自分には残っていなかった。
もとから、我慢強い部分は指摘されて行きてきた。
水分補給をしないで運動を続けて熱中症になったり。
暖房をつけずに過ごして風邪を引いたり。
どちらかと言えば自分の感覚に鈍感だったように、今振り返ると思える。
この心もナビには聞こえているのだ。
ナビはただ静かに僕を見守ってくれるだけだ。
「ありがとう」
横になったままなら、声を出すことぐらいはできる。
しかし、ナビの悲しそうな顔は作り笑いにしかならなかった。
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