第14話

 それからの日々は翌日からラ・マさんの依頼以外は日常に戻った。

 ナビには友だちができたようだが僕には何の変化も感じられなかった。

 別に家族とも特に仲良くなったわけでもなかった。

 しかし、悪者だ何だってのが出てきたらその場へ行くし、必要があれば人目につかない場所で変身もする。

 ただ、ロ・マさんが言った通りでアベレージは子供のいたずら程度のことしかなく、殺人事件だ。強盗だと言うことが起こる頻度は多くなかった。

 もちろん、アベレージが低いだけで、決して起きないわけではないのだが、起きたとしてもどんなに自己的なものであっても事前に現場につけてしまう便利なナビが居るため僕の目の前で大惨事となることはなかった。

 そんな理由からか友だちができたナビもどこからか存在を感じ続けるのだ。

 教室で休み時間を過ごしている自分からすれば外へ出ただろうということで安心してもドアの先からナビが見えるのはしょっちゅうだった。

 ラ・マさんの言いつけなのか、何なのかは実際には聞いていないからわからないが、ただ、ずっと一人ぼっちだった自分にとっては不快ではなかった。

 僕にも依頼受けてから全くいいことがなかったわけではない。

 具体的に言えば生まれてはじめて人に評価されたことが実感できたのだ。

 僕の変身した姿はまるで化け物のようだと自分でも思う。

 そのため、最初は商店街を中心に不審人物だ。危険人物だと噂されていたのを自分でも知っていた。

 しかし、日々正義を貫く行動を続けることで少しずつ理解してくれる人が増え、今ではヒーロー扱いしてくれる人までいるのが嬉しいのだ。

 ネットでは、一部地域でしか確認されていないことから都市伝説のように扱われている。

 生身の自分の活躍でないからこそ、一番話題について詳しいからこそ、一ファンの立場で嬉しくなったいるのだ。

 ただ、生活の質上、外見的に常にナビに監視され、商店街へ行けばラ・マさんやロ・マさんのいる場所へ行くこととなり、そして常に心をラ・マさんに監視されているのだ。

 疲れるどころの話ではない。

 だが、これも不快なだけではない。

 今まで自分をここまで見てくれる人がいなかった。

 自分のことを気にして、自分の動向に対して何か口を出してくる人がいなかった。

 それを、信頼されていたと前向きに取ることもできるだろうが、今までの僕はそれができなかった。

 見放されている。興味を持たれていない。存在を認識されていない。そんな、ネガティブな考えに悩み続けてきた。

 その悩みが一時でも減っているという事実が自分を動かした。

 ラ・マさんに使われているだけだとしても僕は働いた。

「悪者です」

「わかった。場所は?」

「商店街まで行けばわかるようです」

「じゃあ、行こうか」

 危機があれば駆けつけ、なくても見回りを自主的に散歩渡渉して始め、生身でもある程度物事を解決するためにトレーニングも始めた。

 今までになく健康的で、健全な精神を持って僕はこの世の悪に立ち向かっている。

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