第9話

 夕食時でも父に、

「何もするなよ」

 と言われてしまい外でも普段どおりの威圧的態度で自分は殆ど話すことなく今就寝時間が来た。

 部屋数にあまりがなく布団もベッドも人数分しかないこと、女のことを床に寝かせるわけにいかないだろうことから僕はベッドを明け渡しリビングの床にブランケット2枚で寝ている。

 自分のこれからがあまりにも心配でミスをしたら人生を失いそうで負の感情に脳を飲み込まれて何も考えられなくなりそうになっている。

(なにも、俺は鬼じゃないよ。本当に受け入れられなかった時しか罰は与えないよ)

 ラ・マさんはそう言うが信じていいものかと思ってしまう。

(おい)

 ただ、今の状況全てが自分にとって最悪かと言うとそういう訳ではない。

 友もおらず、家族とも中が悪いと思っていたが、ラ・マさんやナビという不思議な人間関係を通して友だちは居ないけど家族仲はそこまで悪くないのではないかと思えた。

 ひとりじゃないって思えた。

 頼ってもらえたことが嬉しかった。

 だからきっと僕はまだ行動できると思う。

(もう寝な)

(はい。おやすみなさい)

(おやすみ)

 僕はいつぶりかわからない安心感の中目を閉じた。

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