第4話
目を覚ましたときには人混みの中に戻っていた。
目を瞑り、頭を振り、やっと現実に戻ってきたことを認識した。
(さっきまでも現実だけどな)
「……!」
声を出すのを必死でこらえるのと同時に心の、さっきまでが夢だったらいいのに、という思いを振り切ろうとした。
(残念)
心の中は知られてしまった。もうどうにでもなれ、だ。
(泥棒を捕まえればいいんでしょう?)
(そうだ。なるべく丁重にな、あと、変身は見られないようにな)
(もう、動いてることわかってるんでしょうけどわかってますよ)
心のなかで会話するの疲れるなと思いながら、人混みを脱出し人の居ない路地へと走った。
結局ラ・マさんとのやり取りが現実のものであるということを自分に伝えるものが出てきてしまった以上受け入れるしかない。
心への呼びかけと、左手首につけられた石だ。
どうやらこの石が僕の正義感と反応し力が得られる。とかなんとか言っていたがそんなこと信じていない。
確かに、超常の力は存在するようだし、非現実的なことが現実に起きたわけだが、目にしていないものは受け入れない。
だから、本当は諦めてたけど、変身なんてしたくない。
(そんなことしたら)
(わかってますよ)
「変身ッ!」
せめて、マイルドな姿がいいな。
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