3章 第11話

黒き守護者ディーシルト…。何で…。」

「…ジョネス家から直々に、此度の混乱を静めよと依頼が来ました…。」

「んで、落ち着いてきたかなって時に偶然リナさんって女の子と会ってね。ボロボロだったから保護しようとしたんだけど、話を聞いて駆け付けたって訳。」

プラチナ色の髪をツインで縛っているメイリに続き、同じくプラチナ色のセミロングヘアーのリイリが簡潔に説明する。目の色はそれぞれ銀色と金色で違うが、顔立ちや髪からして恐らく姉妹だろう。

「まぁ、許可なんてわざわざ取る時間なかったし、そもそも降りないだろうから無断だけどね…。」

「…命が優先。規約は後。」

「メイリと…リイリだったか。すまん、助かった。そして頼む、力を貸してくれ…!」

ノアの言葉に、二人は頷き返した。

「そんで、彼は?」

リイリがルウを見遣りながら問う。普通なら堕天人の成れの果てだと捉えるのが妥当だろうが、彼女は何か違和感を感じ取ったらしい。

「…俺の、友達だ。術者が誰かは知らないが、どうやら洗脳系の能力で操られているらしい。」

「だけど妙でね。あの闇影、彼を守る様な動きをしたんだ。攻撃もしないし…。ま、何らかの関係があるとは踏んでるんだけど、少なくとも堕天人ではないと思うよ。」

「了解、大体把握したわ。それじゃあまず彼を無力化する事が先決ね。」

「…私の出番。」

先程の糸を操っていた張本人のメイリが口を開く。断定は出来ないが、多分拘束系の能力者だ。

「助太刀するってカッコよくキメておいて何だけど…。私達、戦闘力はそこまで高くなくて、どちらかと言うと撹乱とか妨害が得意なの。だから、あくまで主力は貴方達でお願い。」

「ああ、十分だ。」

「感謝しなきゃね。それじゃあ、いきましょうか。」

ジュリナの一声で、全員が敵に向き直る。

「…お姉ちゃんは闇影の方をお願い。」

「おっけー。メイリはあの男の子ね?」

姉の言葉に、こくんと一つ頷いて肯定の意を示す。

「シノは引き続きルウを頼む。」

「はいよ〜。」

そうして各々が得物を構えたのと同時、闇影が再度動きだした。

「グウウ…!」

まるで手頃なステッキを操っているのかと思う程、軽々しく鎌を振り回す。そんな相手にたじろぐ事もせず、一同は目前の敵へと足を踏み出した。

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