第7話
「大丈夫?」
さっきからずっと心配している。それが可笑しくて愛らしい。
「大丈夫だってば。はい、出来た」
出来たばかりの目玉焼きをお皿に盛って心配症の恋人になったばかりの木津さんの前に置く。
あれから数度どろどろになって、眠りについたのは明け方近くなってからだった。のろのろと起き出した時は、もう昼近くになっていて、行為の後の独特の倦怠感が身体に残る。夢だったんじゃないかとぼんやりと考えて、昨日のうっすらと残る記憶と、身体に残る行為の跡と、隣で眠る相手の顔に再び熱い思いが込み上げてきて、一人で顔が赤くなる。
「…おはよ」
少し掠れた声で彼の手が伸びてきた。そのまま顔を引き寄せられてキスを交わす。
「…シャワー浴びようか」
囁くような声に小さく頷くも、もうすでに反応し、硬くなってしまった僕のそれに気付いてまた組敷かれる。
…シャワーが浴びれたのはそれから30分後だった。
「今日はどうしようか?」
「うーん、明日からは仕事だしな…。今日は朋樹さんの身体を堪能する」
断言されてしまって昨日と今日の事を思い出す。仕方ないじゃないか、今まで31年間恋愛なんてしたことなかったんだから。誰かと肌を重ね合わせるなんて初めてだったんだ。
食べ終わり、おいでーと両手を広げて僕の為に開けてくれた相手の膝の上にちょこんと座る。後ろから抱き締めらた時に鼻を掠める彼の匂いは、自分と同じ匂いで、今はくすぐったくてもいつの間にか当たり前になっていくことに嬉しく感じるのはまだ少し先の事。
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