第7話 失敗から学べ

次の日、僕はいつも通り登校した。

 いつも通り靴を靴箱へ入れて、いつも通りスリッパに履き替え、いつも通り教室へ行こうとした時、急に肩を掴まれた。誰だろうと振り返った途端、

「お前のせいで振られたじゃないか!」

 と男子生徒が、僕の顔面目掛けてパンチを繰り出した。しかし、この光景はついこの間、見たことがある。これまでとは経験値が違うのだ。僕はまっすぐ飛んでくる拳をひらりとかわす、はずだった。

バコォン──。

男子生徒のパンチは、見事に僕の頬を打ち抜いた。所詮、男と女ではスピードも威力も違う。僕はそれを身をもって知ることとなった。

「何ですか?」

 僕は頬を押さえて、次の攻撃に備えた。

「お前がOKって言うから、Hしようとしたら断られた挙句、振られたじゃねえか!」

「それって僕のせいですか?」

僕に言わせれば、言い掛かりでしかないが、啓太がなんと言って契約したかは知らなかった。

「当たり前だろ、こっちは金払ってんだよ。全く、ふざけんじゃねえよ。ほら、さっさと金返せ!」

 男子生徒は僕の学ランを掴んで放さない。僕は「そんな」と僅かながらの抵抗を試みたが、「うるさい。また殴られたいのか?」と男子生徒は殴る真似をした。

 仕方なく、僕は財布から三千円を払うことにした。そのお金を、男子生徒は奪い取って去っていった。

 何でこんな目に合わなくてはならないのか、僕は頬を撫でながら、周りの視線から逃げるように歩き出すと、

「無様ね。自業自得よ。オーラは使い方次第では、身を滅ぼすこともあるのよ」

 とまた初花さんが声を掛けてきた。

 その言葉に僕は目が覚めた。

「あの、もう一回、オーラの正体を調べるのを手伝ってくれないかな?」

「どういうこと?」

「やっぱり、性欲って間違いのような気がするから――」

 僕の懇願に初花さんは了解してくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る