第2話 作戦会議


 次の日、僕は初花さんと教室で作戦会議をした。


 かわいい転校生の最初の友達がお前かよ! そんな視線が痛かったけど、親しく話してくる彼女を無視することができなかった。

「まず、この教室でオーラが見える人は?」

 彼女は顔を近付けて、小声で話し掛けてくる。

 ほんのりシャンプーの匂いが心地よい。


「今日は──特に濃く出てるのは、真田さんかな」

「なるほど日によって、濃さが違うのね。見える人に共通の特徴ってないの?」

「全員、女の子って事ぐらいかな」

「なるほど、なるほど」

「それで、どうするの?」

「まずは観察よ」

 そう言うと、彼女は真田さんを睨んでいた。

「初花さんが今まで見付けたオーラが見える人には、どんな人がいたの?」

「もうすぐ風邪を引きそうな人のオーラとか、寝不足とか、お腹空いてるとか、とにかく役に立たない奴ばっかりだったわ」

 とウンザリ顔の初花さん。


 僕も役立たずだったら、こんな風に言われるのだろうか。僕の能力が彼女の満足できるものでありますように。でも、彼女みたいなかわいい娘に「役立たず」って踏みつけられるのも、それはそれでアリなのかも……。

「何? ニヤニヤして」

「ハイヒールで踏むのは、ちょ、ちょっと勘弁してよ」

「何を言ってるの?」

 彼女は意味不明の顔でこっちを見ている。

「え! なんでもない」

 僕は慌てて誤魔化した。

 いつもの妄想癖が出てしまった。

「とにかく、今日の放課後、彼女を尾行するわよ」

 彼女は、真田さんを睨み付けたまま命令してきた。

「僕も?」

「もちろんよ」


 放課後デート? 高校生になったらやってみたい事ランキングがあれば、確実にランクインするイベント。それが今日、突然やってきた。

 どうしよう?

 二人の時、何を話したら?

 小遣いはまだあったか?

 今日は勝負下着か?

 訳の分からない心配をしている内に、あっという間に放課後になった。

 

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