死神パンティー一枚 破壊神一回二千円

八乃前 陣

第1話 死神と破壊神

☆プロローグ 二千円の破壊神


 朝の駅前は、通勤通学の人たちで溢れている。

 サラリーマンやOLに交じって、直近な駅の高校生たちの姿も、少数だけどあった。

 駅前の交差点で信号待ちをしている、学ラン高校生「黒咲輝三四郎(くろさき さんしろう)」は、朝から眠たげな様子もなく、その瞳は軽い興奮で輝いている。

「昨日入ったバイト代、二万…財布の中にバッチリだぞ!」

 懐に手を当てて、放課後へと胸躍らせる三四郎。

 平均よりも大柄な少年は、ショートカットもサッパリとした、しかしやや強面なフェイスと引き締まった体の為か、女子受けはイマイチな男子高校生である。

 ついでに趣味は、アニメ寄り。

「今日の帰り、あの店で、ついにアレを…えへへ!」

 特に、古典扱いやマニア度の高いアニメは、大好物である。

 今も、ずっと目を付けていた商品があって、頑張ってお金を貯めた少年。

 しかしアルバイトで稼いだ金額に比べ、懐は決して温かくなかった。

 ナゼか。

 信号が青に変わって、人々が横断を始めた直後、事件が起こる。

「ドっ、ドロボーーーーっ!」

 交差点に木霊する、おばあさんの悲鳴。

 皆が動揺する横断歩道に、一台のオートバイが突入してきた。

「どけよ手前ぇらぁっ!」

 フルフェイスの黒いヘルメットを被った若い男声が、粗雑に周囲を威嚇する。

 ケータイですぐさま通報する人や、足を止めた人々へと、衝突上等な乱暴加減で突撃してくるオートバイは、更に歩道へ乗り上げようと突っ込んできた。

 向かい来るひったくりのオートバイに、三四郎は苦い顔。

「げっ、マジかよっ! なんだってこんな日に! 泥棒野郎が…っ!」

 犯罪に対するきわめて普通な怒りと同時に、個人的な事情で怒りを燃やす少年である。

 三四郎の右掌が、緑色に光る。しかしその輝きは、人には見えない。

 突っ込んでくるオートバイの犯罪者は、学ラン少年を跳ね飛ばす勢いを微塵も緩めなかった。

「殺すぞオラぁっ!」

「おっとっ!」

 直進してくるオートバイを寸前で避けた三四郎は、真横を走る瞬間、剥き出しなエンジン部分に、右手で触れた。

一瞬で通り過ぎたオートバイのエンジン部分に、緑色の手形がボンヤリと光る。

 通過した次の瞬間、オートバイのエンジンに、手形の穴が貫通。

 動力部分を破壊されたオートバイは、縁石に乗り上げたとたんに大きくよろけて盛大に転倒をして、犯人もアスファルトに背中を強打する。

「うわぁっ–あ痛てえええええっ!」

 悶絶する犯罪者は、周囲のサラリーマンたちに取り押さえられ、駅前交番から駆け付けた警察官たちによって逮捕。

 朝の捕り物は無事に解決されて、奪われたハンドバックも、おばあさんへと無事に返された。

「ホ…これで大丈夫–ハっ!」

 安心した三四郎が、懐の財布を確かめる。

「ああ、やっぱり…二千円、減ってる…!」

 千円札を二十枚入れていた財布から、千円札が二枚、失われていたのだ。

 一人、哀しみに打たれる少年。

「くっそおおおおおっ! だから犯罪者なんて嫌いなんだよっ!」

 警察に逮捕されて連行される犯罪者に対して、誰よりも厳しい視線を向けている三四郎だった。

「あいつのせいだ! くそうっ、もう巻き込まれるのはゴメンだっ!」

 一人言いながら、少年はその場から逃げるような走り去る。

 そんな三四郎の様子を、交差点の反対側から見ていた、少女が一人。

 長い黒髪をサラサラと風に流し、たれ目の大きな瞳にメガネをかけた、起伏に恵まれるブレザー姿の少女は、唖然とする。

「あ、あの人…私と、同じ…?」

 その少女の意識はずっと、三四郎を追いかけていた。


☆第一話 お嬢様は見ていた


 県立はしばみ高等学校。

 一年五組の教室では、ホームルームで初老の男性教師が、転入生を紹介していた。

「え~ね…それではね、入りなさいね」

 転入生と聞いて、生徒たちはワクワクザワザワし始める。

 そんな教室で、三四郎は財布の中身に独り言だ。

「残りが一万八千円…! 今日で使い切りになっちまう~! ああもうっ、ウチは裕福でないから、小遣いは自分で稼がなきゃならんのに~!」

 頭を抱えて小さな声で、今朝のひったくり犯に恨み節。

 今日一日で一万八千円を使い切ってしまう、三四郎の買い物とは。

「何年も探し続けた、夢にまで見た大昔のアニメ『ドリームダイバー恋夢』の、当時一回販売のみだったLD! 最初期のアダルトアニメバージョンが唯一収められた幻の一品! プレメア価格でなんと税込み一万八千円!」

 頭の中に、見つけた時の喜びと、その後の必死なバイトが蘇る。

(もはや絶版で店頭販売分の一枚のみで、しかも店長さんが今日まで取り置いてくれる約束だからっ、今日の帰りに必ずっ、買って帰るんだ!)

 決意を固くして、財布を閉じる三四郎だ。

 一方、教壇では担任教師の招きで、転入生が入室してくる。

「「「おおおおおっ!」」」

 男子たちが、特に沸き立つ。

 黒板の前に立つ少女は、サラサラロングのストレートな黒髪で、大きな瞳が優しく垂れて愛らしく、メガネがよく似合っている。

 身長は平均的だけど、全身のバランスはとても恵まれていて、特にバストは、内側から柔らかく押し上げられていた。

 ミニのスカートから覗く腿も艶々で、大きなヒップに対して細い足首が、少女らしい華奢な印象だ。

「……へぇ、転入生か。可愛いなぁ…」

 黒髪ロングでメガネなところは、三四郎の超好みだ。

 少女が黒板に名前を書くと、担任教師が自己紹介を促した。

「それじゃね、名前をね、自己紹介してね」

「はい」

 鈴のような声色は優しくて清楚で、その一言だけで、男子たちは胸が高鳴ってしまう。

「初めまして。央石萌奈香(おおいし もなか)と申します。母が通っていた私立桜嬢学園高等学校から、父が通っていたこちらの県立はしばみ高等学校に転入いたしました。よろしくお願いいたします」

 丁寧な言葉遣いと綺麗な礼で、自己紹介を終える、笑顔の萌奈香。

 ワっと沸き立つ男子の中で、三四郎はフと頭をよぎる。

「央石さんか…あれ、央石ってたしか…」

 三四郎の疑問に答えるようなタイミングで、担任教師が紹介を引き継いだ。

「え~ね。みなさんも知っているようにね、央石さんはね、央石コンツェルンのね、会長さんのね、孫娘さんで–」

 初老教師の紹介の最中に、萌奈香は三四郎に気が付いて、パァっと華やかな笑顔になる。

「ああ~、あなたは! 今朝の超能力少年様ではありませんか!」

 両手を胸の前でパチんと合わせて、感激で頬が上気している萌奈香。

 大して、超能力の事を言われた三四郎は、大いに慌てた。

「なっ–!」

 そんな様子に気付かないのか、萌奈香は嬉しそうに話しを続ける。

「今朝、駅前のオートバイによるひったくりを–んむむ」

 猛ダッシュで接近した三四郎の掌が、萌奈香の艶々な唇を咄嗟に塞いだ。

 少年の素早い行動に、クラスメイトたちは呆気にとられる。

「? なんだ?」

「どした三四郎?」

「わあ~、黒咲輝くんアプローチ強烈~!」

 男子の怒りと女子の華やぎで、教室がワっと騒がしくなった。

 しかし一部には、ちょっと冷静な男子もいる。

「へ? 超能力…?」

「何のことだ?」

 聞かれて嬉しい話題では決してないから、三四郎は必至に誤魔化した。

「てっ…手品の練習ぅ、コッソリしてたの、見られちゃってたみたいだなあああ~…アハハハ!」

 冷や汗で笑ってごまかす三四郎だった。


☆第二話 パンティーの死神


 休み時間、女子たちに囲まれていた萌奈香は、すぐにみんなと友達になっていた。

「すごいな…俺だったら気後れしちゃうけど…」

 三時間目が終わる頃には、女子たちの中で、すでに昔からの友達のごとく、普通に笑って話している。

 萌奈香のコミュ力の高さは、ちょっと羨ましいとか、なんとなく感じた三四郎だった。

「とはいえ、朝の件は黙っててもらわないと…」

 超能力の事は、絶対にバレたくない。

 過去にもテレビなどでその手の人物が山ほど騒がれたけど、その後の周囲の反応などを見ると、決して幸せとは言い難い。

 人生を無事に歩む為にも、超能力の事は出来るだけ秘めておきたいと、安泰を良しとする三四郎は強く願うのだった。

 お弁当を食べ終わる頃、三四郎が気にしている事を察したらしく、萌奈香の方から話しかけてくれた。

「あの、黒咲輝さん。手品の事で、ぜひお聞きしたい事が–」

「あ、あーはいはい! タネに関する事だから、ちょっとアッチでねー」

 クラスメイトたちに言い訳するように、三四郎は萌奈香を校舎裏へと連れ去る。

 誰もいない校舎裏で、しかし三四郎は萌奈香にヒソヒソ声だ。

 萌奈香は小さなポーチを携えている。

「お、央石さん、朝のアレ…見てたんだよね…?」

 小声の三四郎に対し、ハキハキと応える萌奈香。

「はい。三四郎様が超能力でひったくり犯人のオートバイに穴をあけて転倒させて、事件解決に見事な貢献をされた様子を、私 シッカリと拝見させていただいておりました!」

「だ、だから声大きいって…!」

 少年の慌てっぷりも目に入らないくらい、少女は感激している様子だ。

「三四郎様のお力は…『触れた物を破壊する』まさしく破壊神の如き能力かと!」

「は、破壊神って程の力じゃないけど…っていうか、様付けとかなんでっ? いやいやそんな話じゃなくて…っ!」

 いろいろな単語がいっぺんに出てきて、少年の頭は軽くパニック。

 とにかく様付けはくすぐったいけど、少女に少し待ってもらって、深呼吸してから、物事を順番に整理する。

「えっと、超能力に関しては大当たり。央石さんの言う通りだよ。ただその事は、誰にも言わないでほしいんだ…!」

「はい。承知いたしましたわ。私、三四郎様の超能力に関して、決して他言いたしませんわ! それと、どうぞ私の事は、萌奈香とお呼びくださいな」

 くださいな。と言われても、ダダでさえ女の子に不慣れな三四郎である。

 名前の呼び捨てなんて、とても出来ない。

「な、名前はともかく、だけど…」

 ふう…と一息つく三四郎は、アッサリと納得してくれた事に、ちょっと疑問も感じた。

「とにかく、約束してくれてありがと…って言うか、ああいう現象とか見て、超能力とか俺の事とか、その…気味悪く、ないの…?」

 遠慮がちに尋ねると、少女から、また実にアッサリと答えが帰ってきた。

「はい。だって私も三四郎様と同じ、超能力者ですもの!」

「へぇ…えええっ!?」

 アドリブで考えて三四郎をからかっているとも思えないくらい、瞳がキラキラと輝いている。

「私、生まれて初めて 私以外の超能力者の方と、出会いましたの! とてもとても、興奮してしまいましてよ!」

 (うわ「てよ!」って、アニメとかで見るお嬢様系だ!)

 とか思って、そういえば央石さんは本物のお嬢様なんだっけ。とか思いなおした三四郎。

 そんな少年の様子を余所に、萌奈香はポシェットから、ピンク色のリボルバーを取り出した。

「私は、これですの!」

 リボルバーは、成形色そのものがピンク色で、デザインのデフォルメ具合も大きさも、百均とかで売ってる子供用のおもちゃのよう。

 握りの部分に、緑色の宝石みたいな鉱石が嵌め込まれていて、そこだけ高価っぽくも見えた。

「私は、これを使用して…そうですわ、死神の如き能力を発揮いたしますの!」

「し、死神…!?」

 破壊神と並ぶような、物騒な名前だ。

 手慣れた感じに、手の中でクルクルっとリボルバーを回した萌奈香は、全く不慣れを丸出しで、リボルバーをカチヤっと落としたり。

「あわわ。私、まだまだ半人前ですわ」

 今のパフォーマンスは見栄だったのか。とかわかると、お嬢様がちょっと身近に感じられる少年。

「死神って…その銃で…?」

「はい。何かお見せできれば良いのですが…」

 言いながら、周囲をきょろきょろ。

 気づいたのは、校舎の近くで喧嘩している二匹の猫。

「あらあら、大変ですわ」

 言われて見ると、太った大きな猫が、小さな子猫を威嚇している。

「かねてより喧嘩両成敗とは言いますが、あの場合、人情として子猫の味方をしても、バチは当たらないと思いますわ!」

 なんだか三四郎に同意を求めるような宣言をして、萌奈香は右手のリボルバーに左手を添える。

「三四郎様、ご覧くださいな」

 言いながら、大猫にリボルバーを向けて構えるお嬢様。

 絵面も得物も違うのに、大富豪の鹿狩りとかを連想した三四郎だ。

 結構、ジックリと構えた萌奈香が、大きな猫へと、一発発射。

 おもちゃの拳銃そのままな「ぽすっ」という気の抜けた音がして、初速の遅い弾丸が発射される。

「あれ…!?」

 銀玉でも飛び出すかと思っていたら、桃色の柔らかい光の球が、銃口からポワっと溢れた。

 桃色の光弾は、発射の直後に速度を増して、蛇行しながら一秒とかからず、大猫の脇腹へと命中をする。

 しかし猫は、痛くも痒くもなさそう。

 何のダメージにもなっていなさそうな攻撃だけど、お嬢様は得意げだ。

「あの…何したの?」

「はい、すぐに」

 三四郎の疑問に答えるように、校舎四階の窓から水が投げ出されて、大猫にザブっと降りかかった。

「フギャーっ!」

 驚いた大猫が悲鳴を上げて、ドコかへ走り逃げてゆく。

 ピンチを脱した子猫も、慌てて別方向へと遁走をした。

 猫の喧嘩が終了。

 校舎四階の窓から、女生徒たちの声が聞こえる。

「やっばー、滑って花瓶の水、こぼしちゃったよー」

「校舎裏でしょ? 誰もいないって」

 なんだかわからない事態で頭が「?」な三四郎に、萌奈香は自信たっぷりに胸を張る。

「いかがでしょうか?」

 むふーっと誇らしげな息が聞こえそうな、可愛らしい「褒めて」アピールっぽい。

 三四郎は、目の前の現象を冷静に追跡する。

「いや、えっと…央石さんが銃で撃ったら、ピンク色の光の弾が猫に当たって、猫が水を被って逃げて行った…って事、だよね…?」

「はい。あれが私の超能力『対象者の運気を下げる』ですの!」

「運気…つまり あの猫が水を被っちゃったのは、央石さんの超能力の影響で、運が下がったから…だから、自称『死神』なんだ」

 三四郎の納得が、萌奈香には嬉しそうだ。

「はい。そして三四郎様は『破壊神』ですわ!」

 破壊神と言われた事より、もっと重大な事実に、今さら気づいた三四郎。

「なるほど…っていうか、そういえば俺も、俺以外の超能力者、初めて会ったよ」

「まあ、それば素敵なタイミングですわ! あ、それと私の事は、どうぞ萌

奈香とお呼びください!」

 共通の認識と体験がよほど嬉しいのか、お嬢様は名前呼びを求めて止まない。

「そ、それは恥ずかしいけど…」

 そんな三四郎の様子も気にならないくらい、萌奈香は興奮していた。

「これは運命の出会いですわ! 三四郎様っ、どうかこの私と、皆様の平和を護る正義のチームを結成いたしましょう!」

「…え?」

 人類の平和という、一高校生では絶対に手に負えない使命感に燃えるお嬢様は、興奮を隠しきれない様子。

「二人の超能力で、人々の平和と安全を護るのですわ! 部活棟の一室をお借りして、困っている方がたのお悩みを聞き、私たちで次々と解決してゆきましょう! チーム名は、そう『お助け倶楽部』が良いですわ!」

「お、お助け…?」

「だってこの力も私たちの出会いも、きっと神様がさすげてくださったに違いありませんもの! 決定ですわ!」

 ハイテンションなお嬢様に、三四郎は理解が追い付かない。

「ちょ…ちょっと待って! 人助けとか、俺には無理だよ!」

「? なぜですの?」

 心の底から、あなたの拒否は全く理解できません。みたいな、純粋そのものなキョトン顔。

 そんな、無垢な少女そのものの愛顔も、高貴で可愛いと、少年は感じる。

「それはその…なんでか知らないけど、あの能力を使うとそのたびに、現金二千円か、それ相当の物品が、俺の前から消えて無くなるんだよ! むおみに人助けなんてしてたら、あっという間に破産しちゃうよ俺…!」

 現に今月だって、昨日貰ったばかりのバイト代が、今日で消え去ってしまう事が確定している。

 まあ自分の趣味の為ではあるものの、完全に小遣い無しの一ヵ月は、本当に辛い。

 三四郎の訴えに、萌奈香は素直な疑問を寄越す。

「ですが、三四郎様は今朝、お年寄りを助けていらしたではありませんか」

「あ、あれは…」

 体が勝手に動いてしまった。としか、言いようがない。

 答に詰まる少年が、お嬢様には、性根の優しい人物と受け止められているようだ。

 さらに少年の苦悩を、お嬢様は意外にも理解を示してくれていた。

「三四郎様、人知を超えた力には、きっと相応の対価を求められるものなのですわ。私も、対価を支払っておりますもの」

「対価…? そりゃ、お嬢様なら二千円なんてお金にも入らないんだろうけど…」

 つい自分目線で決めつけてしまったら、萌奈香は恥ずかしそうに、対価について告白をする。

「私の対価は、その…三四郎様にだけ、お伝えいたしますけれど…その…」

 そっきまでのハキハキした話し方から一転して、モジモジと言葉尻がこもる。

「?」

「私は、その…超能力を数回と使用するたびに、身に着けている、しょ…ショーツが、消えてしまいますの…」

「しょーつ…ええっ!?」

 つまりパンツだ。

 超能力を使うたびにノーパンになる。とう事は、さっき超能力を見せてもらったので。

「そ、それってあの…い、今…も?」

「…………」

 お嬢様は耳まで真っ赤に染めて、コクんと頷く。

「そ、そんなバカな…いや、だって…」

 この場にとってそんな都合のいい話がある? と、少年の心が疑いながら、本当だったらスゴい。とも興奮している。

「現在の私は、その…下着を着けていない状態…ですわ…」

 恥ずかしさを堪えて告白している萌奈香。さりげなくお尻を手で抑えているあたり、ウソではないっぽい。

「いやでもそんな…」

 三四郎は、こんな空気の恥ずかしさもあって、つい否定してしまう。

「お、お見せする事は叶いませんが…その、スカートの上からでしたら、触れて確かめて、ごらんになりますか…?」

 大きな瞳を羞恥でうるませながら、萌奈香が恥ずかしそうにお尻を向ける。

「い、いや分かった…! 信じる、信じますから…!」

 女子に迫られると、意外と男子はあっさり敗北してしまう。

 三四郎も、萌奈香の決意に、信じざるを得なかった。

 そして三四郎が手で触れるなどして確かめるまでもなく、そよ風で捲れた少女のスカートの下は、肌だった。

「きゃあ…!」

「あわわっ、ゴメン!」

(お、女の子のお尻…! 初めて、見た…っ!)

 不意打ちで見てしまった女子のお尻に、心臓がどきどきと高鳴ってしまう。

 そんな三四郎の緊張も、少女にとって、信じて貰えた喜びの前では全く存在感が無かったらしい。

 萌奈香は、パっと嬉しそうな笑顔が華やぐ。

「それでは、私と一緒に–」

 チーム結成。と喜ぶ少女に、三四郎は自分の現実を伝える。

「だ、だから、それはムリだって! 俺、今月はもうギリギリのギリなんだ! そういうワケだから! それじゃ、ゴメン!」

 ノーパン女子といる恥ずかしさも手伝って、三四郎は駆け足で、校舎裏から逃げ出す。

「三四郎様…」

 さみしそうに佇む萌奈香だった–。


☆第三話 破壊神 駅前に降臨


 放課後の教室で、当番である掃除を終えた三四郎は、駆け足で下駄箱へと向かう。

「急げ、急げ! 早くショップに行かないと…っ!」

 少年の頭の中は、夢にまで見たLDの事だけでいっぱいだ。


 同じ頃、駅前の大通りで、萌奈香はリムジンの車中にいた。

 今朝は、わがままを聞いてもらって人生初の電車通学を達成できたけど、帰りは迎えの車というのが、父との約束だった。

 電車通学とはいえ、一両まるまる護衛の黒服たちが占領していたので、実際は一般的な電車通学ではなかったが。

 赤信号で停車した車中から、窓の外を眺めるでもなく眺めていた萌奈香は、銀行の異変に気が付いた。

「あら、あれは…?」

 銀行の中では、黒い覆面姿の二人組が、まさに強盗を働いていた。

 黒い革ジャンの太った男が、人質にした女性銀行員のこめかみに、オートマチックの銃口を突きつける。

「オラオラァっ、とっとと金だせ金ぇってんだっ!」

 腰ぎんちゃくみたいな、黒いパーカーの痩せた小柄男が、スポーツバッグをカウンターに、ドサっと叩きつける。

「このカバンに詰め込むでヤンスよっ! 早くしろでヤンス!」

 同じオートマチックを初老の男性店長に向けながら、バッグに札束を詰めさせてゆく。

 銀行の前を通る人々も、何やら普通ではない雰囲気に気づき始めていた。

「銀行強盗ですわ!」

「あっ、いけません お嬢様!」

 リムジンを運転する執事が制止する間もなく、萌奈香はポーチを手にして飛び出す。

 リボルバーにエネルギーの弾を込めると、スカートの下では、昼休みの間に新たに身に着けたショーツが消失をする。

「これで!」

 銀行のウィンドウに向かって一発を発射すると、運気の落ちたガラスは、車道を走る車に弾かれた小石が目立たない傷に命中し、ガシャンと割れた。

「なっ、なんだってんだっ!?」

 強盗たちが振り返ると、ウィンドウから飛び込んでリボルバーを構える少女が一人。

「おやめなさい! 強盗などという犯罪は、この私が許しませんわ!」

「銃っ! 手前ぇ、サツかあっ!」

「あわわでヤンスっ!」

 慌てた痩せ強盗が少女にオートマチックを向けるも、萌奈香が一瞬だけ早く弾丸を発射。

 ピンク色のエネルギー弾を受けた痩せ強盗は、経年劣化で落下した照明で頭を強打し、気絶。

 萌奈香は一人の強盗を無力化した。

「次はあなた–きゃあっ!」

 萌奈香がリボルバーを向けるが早く、肥え強盗が、少女のリボルバーを銃撃。

 超能力少女も、その媒体を破壊されてしまえば、ただの少女に過ぎない。

「小娘がっ! ナメんなよってんだっ!」

「あぁ…っ!」

 無力化されてしまった萌奈香は、脂肪の下になかなか屈強な筋力を有する肥え強盗によって、背後から拘束されてしまった。


 少し遅れるタイミングで、ショップへと走る三四郎が、駅前を通りかかった。

「急げ急げ! 変な事件に巻き込まれる前にショップへ–うわっ、人だかり!」

 これまでの経験から、人山の向こうに事件ありと知っている少年。

(こ、これでお金が減ったら…いよいよ目的の逸品が買えなくなってしまう!)

 と、ゲンナリしながらも、やはり見過ごす事のできない少年。

「なんだよ一体…げっ、央石さんっ!?」

 人だかりを超えて銀行を見ると、割れたガラス越しで、強盗に捉えられている萌奈香の姿が。

 少女は強盗の腕で、背後から首を抑えられていて、こめかみに銃を突きつけられている。

 銀行の前では、到着した三台のパトカーと警察官に制止されながら、執事らしき初老の男性が、自分と人質交換してくださいと懇願していた。

 三四郎は、素早く状況を理解する。

「央石さんっ、リボルバーが使えないんだ! ああもうっ、警察なにしてんのっ!」

 と悪態をついたところで、人質をとられていては簡単に手を出せない事も、三四郎だってわかっている。

 強盗の要求が聞こえて、三十分の間に逃走車を用意しないと人質を殺す。とか言い出したようだ。

「ああもう!」

 僅か数舜だけ、必要な覚悟の時間で決意をすると、三四郎は銀行への潜入口を探して走った。


 警察が包囲する銀行の周囲を諦めて、近くのビルの屋上から銀行の屋根へと密かに飛び降り、裏口の窓から侵入を試みる三四郎。

「ここなら目立たないけど…ああ、鍵がかかってる! はぁ…破壊しないと入れないな…これでまた、二千円か…」

 ため息を吐くと、少年は夢へのバイト代に、別れを告げる。

「さらばLD…同じ趣味のオタクに買われて、可愛がられるんだぞ…!」

 人知れず涙を流すと、少年は右手の指先に力を込めて、窓ガラスをバリんと破壊した。


 銀行の内部へと侵入して三四郎は、ひっそりと息を潜め、扉の陰から事件の現場であるフロアを探る。

 フロアでは、太った強盗が窓の外を威嚇しながら、イライラしていた。

「オラオラァっ、とっとと起きろってんだぁっ!」

 肥え強盗が声を荒げ、痩せ強盗を起こそうとしている。

 萌奈香は背後から拘束されていて、警官たちに対する盾にもされていた。

 銀行員たちはみな、うつ伏せで伏せさせられている。

(中はあんまり広くないな…ナゼか倒れてるあの強盗–ああ、央石さんが倒したんだろうな…アイツまで、三メートルくらいか…)

 肥えた強盗までは八メートルほどか。どちらかと言えば三四郎に背中を向けている体制だから、近づく隙はあるっぽい。

(…後ろから近づいて、アイツの足元にでも大穴を開けて落っことすか…でもそれだと、央石さんも危ないか。むしろアイツのズボンでも破壊して慌てさせる方が…と、とにかく、痩せた強盗が目を覚ますと めんどくさいぞ)

 あまり時間はない。萌奈香を盾にしている卑怯な肥え強盗が背中を向けている今が、勝負時だ。

 少年はハァっと静かに強く息を吐くと、屈んだまま素早く、フロアに突入。

 足音を立てずに肥え強盗の背後に接近を試みたら、痩せ強盗を起こそうと、男が振り返った。

「オラ起きろっ–うわあっ!」

「うわわっ!」

 数メートルの距離で目が合って、互いに驚く。

「てっ、手前ぇっ、誰だってんだっ!」

「さ、三四郎様っ!」

 男と一緒に、乱暴に振り返らされた萌奈香は、スカートがヒラりと捲れる。

 少年の視界と意識いっぱいに、ノーパンのすべすべした裸の腰が、認識された。

「ぅおわっ! お、央石さんっ!」

 思わず視線を逸らしてしまったけど、意識の中は、初めて見た女子の裸腰だけで占められてしまう。

(み、見ちゃったっ! 初めてっ!)

 見られた少女は、気づいていない様子だ。

 起立したまま赤面して顔を背ける少年が、強盗には恐怖する姿に見えたのだろう。

 男はわずかに余裕を取り戻すと、驚かされた怒りに火が付たらしく、三四郎に向けた銃のトリガーに、力を籠める。

「この小僧がっ、驚かせやがってぇっ!」

 ギリ、と、トリガーを引く小さな音。

(うわ撃たれる!)

 意識がスロー再生のように、周囲を認識する、命の危機。

「三四郎様っ!」

 萌奈香の、悲鳴に似た叫びが聞こえる。

(これじゃ死ぬ! いや死ぬのヤだろっ!)

 数舜でそう思うと、絶対の危機に対して、無意識で体が反応をした。

 パン、と乾いた発砲音がする。

(死ぬかよ!)

「死ぬかよ!」

 心と口調がリンクしていて、弾丸に意識が集中していた。

 赤熱化する弾丸が胸に当たる直前、強く目を閉じた三四郎の体が、緑色に発光。

 弾丸は、カチんと乾いた音を立てたと同時に、一瞬だけ停止して、塵のようにフワ…と霧散した。

 三四郎も萌奈香も、強盗も、目の前の現象に一瞬だけ、思考が停滞。

「「「……?」」」

 素早く認識できたのは、自身である三四郎だ。

(あぁそうか…俺の超能力が触れた物の破壊なんだから、飛んできた弾丸も破壊できたのか…!)

 銃撃されるなんて体験は初めてだから、いま知った。

 少し遅れて、超能力者である萌奈香も理解。

「さ、三四郎様…! なんて、最強な方…!」

 人質にされながらも、光り輝く少年の姿に、ウットリと心を奪われているようだ。

 まったく理解できないのが、超能力者ではない強盗だった。

「てっ、手前ぇっ! 防弾チョッキなんて着けてやがったのかってんだっ!」

 今度は外さないと、必殺の意識で、三四郎の額に銃口を向けてくる。

 銃を突きつけられる恐怖感はあるものの、こうなったらやるしかない。三四郎は半分ヤケぎみで、強盗を睨みつけながら歩み寄った。

「撃ってみるがいいさっ! 強盗なんかの弾丸で、俺を殺せると思うのならな!」

 なんでそんなにセリフみたいな強気なのか、自分でもわからない。

 ただ、恐怖を乗り越える為に、心が高揚しているのだろう。

 怒りと恐怖で激昂する強盗が、三四郎に向けてオートマチックを闇雲に打ちまくる。

「こっ、この野郎ってんだああああっ!」

 パンパンパンっと乾いた銃声が鳴り響き、発射された弾丸は少年の額や胸へと次々に命中。

 そのたびに、鉛の弾は緑色に光って塵と化し、霧のように散らばった。

(今日だけで六千円 八千円 一万円 一万二千円–)

 消耗されてゆく小遣い。夢に向かってバイトに励んだ一ヵ月。

それらが頭をよぎり、自然と涙が溢れていた。

弾倉が空になっても、強盗は引き金を引き続け、やがてカチッカチッと空しい金属音だけが、フロアに響く。

 弾丸を無力化する少年が目の前に迫ると、強盗は軽いパニックに陥っていた。

「たっ、弾が効かねえぇっ! 手前ぇっ、小僧っ、何なんだよってんだああっ!」

 投げつけられたオートマチックも、三四郎の頭に当たる寸前で緑色に光って塵化。

 死の恐怖に打ち勝った少年は、無意識にも、ちょっとハイになっていた。

「俺はっ、神から使わされた破壊神だっ! 触れる物は全て、破壊するっ!」

 言いながら「うわ恥ずかしい!」とか「神と破壊神がカブってるじゃん!」とか、どこかで冷静な意識が赤面していた。

 強盗がビビッて降参する事も、どこかで期待していたのかもしれない。

 しかし強盗は、強硬的な一手、いわゆるヤケクソの手段に訴えてきた。

「こ、こうなったらっ、死なばもろともだってんだああっ!」

 人質だった萌奈香を突き飛ばすと、黒い革ジャンを開いて見せる。

 胴体部分には、ダイナマイトが巻き付けられていた。

 強盗を働くくらいだから金銭的には裕福でもないようで、ベルトに巻き付けられている爆弾は、密集しておらず、隙間だらけ。

「爆弾かよっ! この馬鹿強盗がっ!」

 奪い取ろうと手を伸ばしたら、強盗は電子式のスイッチをオン。

 小さな発火と共に、導火線に火が付いた。

「であ~ッハッハッハッてんだぁっ! みんなまとめてぇっ、死んじまえってんだああっ!」

 このフロアの人たち、全てを巻き込んで死ぬつもりの様子。ヤケになるにも程がある。

「このっ…! 萌奈香さんっ、俺の背中にっ!」

「は、はいっ!」

 少女を背中側にまわらせて、守る。

 爆弾を一つずつ消滅させている時間はないかもしれないっぽいので、三四郎は強盗の体から、素早く留め金だけを破壊して、ベルトごとまとめて引き剥がした。

 爆弾を見ても強気な少年に、強盗は心底から、恐怖で冷える。

「お前っ、仲間も一緒に、俺の後ろに隠れろっ!」

「はっ、はいってんだっ! あわわっ!」

 少年の命令に、やっぱり命が惜しくなった肥え強盗が、言われた通りに痩せ強盗を引きずって、三四郎の後ろの萌奈香の後ろで、小さく縮こまる。

 爆弾の導火線は、もう本体に届く直前。

「これはっ、こうしてっ! 俺なら出来るっ!」

 自分に言い聞かせながら、少年は爆弾を割れた窓ガラスに向けて掲げる。

 その瞬間。

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンっ!

 盛大な爆発音が駅前に響いて、爆弾が爆発をする。

 同時に、緑色に光る三四郎は、破裂する爆発の、自分に向かってくる威力そのものだけを破壊して、フロア全体を爆発の衝撃から守ってみせた。

 銀行前の警察やヤジ馬たちに、強い爆風が向かう。

 しかし距離的に、怪我人を一人も出さずに済んでいた。

「ふぅ…上手くいったぞ」

 安堵の息を吐く少年を、少女は驚きと尊敬の眼差しで見上げている。

 三四郎は、萌奈香の後ろで小さくなって怯えている肥え強盗に、素直な怒りの表情を向けた。

「おいお前っ、いいかっ! 今すぐ警察に自首して、二度と犯罪に手を染めるなよっ! でなければ…えっと…そう、今度はお前自身の手足を、バラバラに破壊してやるぞっ!」

 一生懸命に考えた脅し文句と一緒に、緑色に光る掌を見せつける。

「はっはいっ、はいいいってんだっ! おおおお助けっ、おまわりさーーーーーーーんっ!」

 破壊神の怒りを見せつけられた肥え強盗が、痩せ強盗を引きずって、包囲する警察へと助けを求めて走って行った。

「萌奈香さん、怪我はない?」

「は、はい! 三四郎様!」

 嬉しそうに頬を染める萌奈香。

 緑の光を消した三四郎は、二度も名前呼びした事を、まだ認識できていない。

「よし…とと、とにかく早く、ここから離れないと! 超能力者だとか、バレたくないし!」

「はい!」

 三四郎は、萌奈香の手を引いて、銀行の裏から脱出をした。


☆エピローグ お助け倶楽部


 夕方の公園に、二人はいた。

 公園の入り口ではリムジンが停車していて、執事さんはさっきまで涙の感謝を少年へと伝えていた。

 ブランコに腰かける三四郎は、強盗事件を解決したのに、落ち込んでいる。

 「はぁ…今月の小遣いが一日でパー…LDも、うぅ…」

 ガックリと頭を落とす少年に、萌奈香は素直な感動を示した。

「ですが、さすがは三四郎様ですわ! 強盗事件を見事に解決されて、犯人に自首までさせてしまいましたもの! 私では、とても、あのように行きませんでしたわ!」

「まぁ…結果的にだけどね…」

 萌奈香が、感謝と敬意をもって、三四郎の前に膝まづく。

「それと…三四郎様、助けて戴き、ありがとうございました」

「いや、それはだって…」

「三四郎様は、私の命の恩人ですわ…!」

 夕焼けに照らされて告げる萌奈香の笑顔は、純粋で、とても輝いて見えた。

 そして、あらためて気づく。

(誰かの…こんな笑顔で感謝されるのって、初めてだ…)

 いつも、超能力バレを恐れて、すぐに現場から走り去っていた。

 誰かが救われて感謝される事が、こんなに心を温めてくれるんだと、三四郎は初めて知る。

「い、今まで、その…助かった人たちも、萌奈香さんみたいに…喜んでくれてたと、思う…?」

 少年の、恥ずかしそうな問いに、少女はとても明るい笑顔で答えてくれた。

「はい。それは、絶対にですわ!」

「そっか…」

 それだけで、一ヵ月のバイトとお小遣いが、報われた気がする。

 頬が赤くなり、つい顔を背けてしまう三四郎。

「えっと…昼の話だけど…あれ、お『お助け倶楽部』? その…俺に出来る事だつたら、協力するよ…」

 少年の申し出を、萌奈香は素直に喜ぶ。

「まあ! ああ、なんと喜ばしい事でしょう! 三四郎様っ、これからも何卒、よろしくお願いいたしますわ! 二人で世界の平和を護りましょう!」

 立ち上がった萌奈香は、楽しそうにクルクルと回っている。

「うん、まあ…出来るなら、二千円で世界が護れてほしいけどね」

 言いながら、三四郎の笑顔はスッキリとしていた。


                            ~終わり~

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死神パンティー一枚 破壊神一回二千円 八乃前 陣 @lacoon

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